あなたは、歯の神経の価値を知っていますか?永久歯の本数は、親知らずを合わせると32本あり、その1本1本に神経が通っています。
「1本ぐらい…」と安易に神経をとる処置を選択する方もいらっしゃるかもしれませんが、神経の有無で歯の寿命が大きく変化するとしたらどうでしょうか。
今回は、歯の神経の役割や除去せざるを得ないケース、そして神経の除去とその後におこなう治療法について、注意点も含めまとめてみました。是非参考にして頂ければと思います。
1.丈夫な歯を保つには必要不可欠!?神経の役割とは?
歯の神経というのは、必要であるから存在し、決して安易に失ってよいものではありません。
神経を失った歯は、寿命が大幅に低下するともいわれています。歯の神経の役割にはどのようなものがあるのかを詳しくみていきましょう。
1-1.歯に栄養を送る
硬い物をしっかり噛める丈夫な歯質を保てるのは、神経とともに存在する血管によって栄養が送られているからであり、血流が失われると同時に脆くなり血流の存在していたときにかかっていた同等の力にも耐えられずに、欠けたり、割れたりするリスクが高くなります。
1-2.虫歯に対する抵抗力
血流を失った歯は、新陳代謝が行われなくなり抵抗力が低下して、存在していた頃にくらべ、虫歯になりやすくなるといわれています。
また、神経がないことで、痛みのセンサーを失う為、気付いたら重度の虫歯になっていたというケースが少なくありません。
しみる感じは決して気持ちの良いものではありませんが、何かしらのトラブルを知らせるサインでもあるのです。
1-3.歯の色を正常に保つ
血流を失った歯は、徐々に変色していきます。
これは、新陳代謝が行われなくなって血液などの色素成分が沈着していくからといわれています。
転倒やぶつかって暫く経った後、歯の色が黒っぽく変わってきたという場合は、神経が壊死している可能性が考えられます。
神経を失ったことによる変色がみられる歯には、外からのホワイトニングが効果もあまり期待できない為、内部からの漂白やセラミックなどの被せ物で治す必要があります。
2.こうなるともう手遅れ!歯の神経を除去せざるを得ないケース
「歯の神経を失いたくない!」そう思っても、除去しなければいけない、根管治療となってしまうケースは多々存在します。
歯の神経を守る為には、症状が軽いうちに適切な処置を取るしか方法はありません。根管治療が必要となるケースにはどのようなものがあるのでしょうか。
2-1.細菌感染が神経内で起こった場合
除去する原因として最も多いのが、細菌感染によって神経に炎症が起こっているケースです。
虫歯で歯に強い痛みを感じた時には、もう既に神経の存在するエリアに細菌が侵入している事が多く、そうなってしまうとほとんどの場合痛みを取るしかありません。
強い痛みを感じても放置していると、痛みは徐々に無くなりますが、それは神経が完全に機能を失うからです。感染し機能しなくなった状態の放置は、根尖病変(根っこの先に膿が溜まる病気)が起こる可能性が極めて高くなり、大変危険です。
2-2.重度の知覚過敏によって歯ブラシが当てられなくなった場合
虫歯ではないのに、冷たい物や熱い物、風をかけるとしみるという症状は、知覚過敏である可能性が考えられますが、原因は歯磨きの回数が多すぎたり、歯磨きの際に力を入れすぎているなど不適切なお手入れによって歯や歯茎が磨耗している状態だったり、噛む力が強かったり歯ぎしりなどで歯質にひびが入っている状態だったり、同じく噛む力の問題で根に近い側が楔状に削れてきている状態だったり、あるいは歯周病や加齢変化で歯肉がさがることで根が露出してきているところがしみていたり、と多岐にわたります。
痛みは、知覚過敏専用の歯磨き粉や薬品を使用する事で、一時的に弱めることはできますが、原因によって対処法は異なり、症状が重い場合は神経を除去しなければならない場合もあります。
2-3.被せ物をおこなう際に、天然歯の削る量が多い場合
詰め物や被せ物をおこなうときは、虫歯のある部分だけでなく必要な厚みを確保できる分だけ歯を削らなくてはなりません。
白い歯を入れるためには色の再現と強度確保のためにより多く削る必要があり、その分神経までの距離は近くなってしまいます。また、金属製の被せ物は熱伝導率が高く、温度のある物を感じやすくさせる為、しみる痛みが出やすくなる傾向があり、症状が重い場合は神経を除去する場合もあります。
被せてある物を外してやり替える場合は、より多く削る必要があることがあり、状況によっては神経を除去する事もあります。
3.歯の神経の除去とその後におこなう処置法とは?
歯の神経を除去したあとは、細菌が繁殖する空洞が残らないように中を充填します。その後におこなう処置法として、最も多いのはいわゆる差し歯です。
差し歯とは、神経を抜いた根に、土台をはめ込み、その上に被せ物を行う処置です。
土台ならびに被せ物は、専用の接着剤で固定する為、通常の使用状況であれば簡単に外れる事はありません。しかし、差し歯になったからといって決して安心はできず、差し歯ならではの注意点も存在します。
3-1.根が割れやすい
差し歯として使用する土台は現在グラスファイバーのピンと樹脂を併用したものが主流になりつつありますが、過去処置された土台の多くは、金属でできています。
金属は、根の歯質よりも硬い素材であり、たわみ具合が違うので過度の力がかかるとそれを支える歯質が割れやすくなります。グラスファイバーの土台であればたわみ具合が近いのでより割れにくいですが、元の健全歯と対等とまではいきません。また、どちらの材料でも土台を立てるのに削る量が多くなればそれだけの厚さが失われて、割れやすくなります。
根の破折のひびは、細菌の侵入経路となりやすく、破折が原因で根尖病変が起こる事もあります。
3-2.歯と歯茎の境目に汚れがたまりやすくなる
これは、差し歯でなくても詰め物・被せ物をしている歯であれば当てはまる事ですが、被せ物と天然歯の境目は大変虫歯になりやすい場所といわれています。
神経を失って抵抗力が低下した状態の差し歯であれば尚更、虫歯のリスクは高くなり、それを防ぐ為には境目のお手入れも重点的に行わなければなりません。
これまた処置している歯だけに限りませんが、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシでのお手入れが必要不可欠となります。
3-3.根尖病変がおこりやすくなる
根尖病変は、神経を失い、細菌への抵抗力が失われた状態であることから起こる病気です。
細菌感染が原因で根管治療を行ったとしても、根管内は大変複雑な作りとなっており、全ての細菌を取り除いて無菌化する事は不可能とまでいわれています。
その為、残ってしまった細菌が再び増殖し、根尖病変を引き起こすケースも少なくありません。
4.根管治療は、信頼できる歯科医院で受けましょう
先に述べたように、自由診療の根管治療専門医であっても100%無菌の治療は不可能で、成功率100%はありえませんが、同じ根管治療であっても、使用する器具や機材、処置をおこなう歯科医師の技術や経験によって、処置後のトラブルの起こりやすさに差が生まれます。
根尖病変の治療法は、再治療の回数が増すほど根の歯質を更に削らなくてはならない為、破折リスクが高くなります。
初めての根管治療は勿論、再治療でおこなう場合であっても、唾液の侵入を防ぐラバーダムの使用や自由診療で高額になってしまう場合もありますが精密な治療がおこなえるマイクロスコープ等を使った質の高い処置を受けられるといいですね。
まとめ
いかがでしょうか?“何でも噛める”その当たり前の事は、歯の神経と血流が存在し、丈夫な状態であるからこそできることであり、トラブルが発生し失って初めて後悔するという方は決して少なくありません。
神経を除去した歯が存在する方は勿論、全部残っているという方も、今後の為にも普段のお手入れ方法の見直しや歯科医院での定期チェックをオススメします。
根管治療を受けるときは、質の高い治療をおこなえる歯科医院であるかどうかの確認も忘れずに。
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