2020.03.19

もとに戻せる可能性も!歯が抜けた時の応急処置と治療法

もとに戻せる可能性も!歯が抜けた時の応急処置と治療法

むし歯や歯槽膿漏が重症化すると、歯科医院で歯を抜かざるを得なくなることがあります。
しかし、そうでなくても歯が抜けてしまうことがあります。例えば外傷などが挙げられるかと思います。このように、不意に歯が抜けた時、どうすれば良いのでしょうか。
正しい応急処置の方法を知っておけば、抜けた歯をもとに戻せる可能性があります。
適切な処置ができるように、歯が抜けた時に知っておくと良い知識について説明いたします。

1.歯が抜ける主な原因

1-1.外傷

インプラント術後に痛みのある人のイメージ

外力によって歯が骨(歯槽骨)から抜けてしまうことを、『歯牙脱臼』(しがだっきゅう)といいます。歯牙脱臼は、その症状から『完全脱臼』と『不完全脱臼』の2つに分けることができます。
完全脱臼とは、完全に歯が骨から抜けた状態のことをいいます。
一方、不完全脱臼とは、完全に抜け落ちてはいない状態
のことです。歯が抜けるというと、歯茎から抜け落ちた状態を想像しがちですが、実はそうでなくても歯が抜けたとみなされることがあるのです。

歯牙脱臼について

歯牙脱臼の多くは、圧倒的に前歯にみられます。力が奥歯にかかった場合には、歯が破折することが多いからです。
歯に外傷を起こす原因には、交通事故、転倒転落、スポーツによる事故、作業事故、
暴力、飛来物などがあげられます。このうち、交通事故や転倒転落が大多数を占めま
す。近年は、シートベルトを締めるようになったこと等により、交通事故による歯牙脱
臼の頻度は減少傾向にあります。

1-2.歯周病

歯周病の説明図
歯周病は、歯肉・歯根膜・歯槽骨・セメント質という部分で構成されている歯周組織と呼ばれる歯を支えている組織に起こる病気です。
歯槽骨とは、歯を支えている骨のことです。ただし、歯と歯槽骨は直接付いている
のではなく、歯根膜という薄い靭帯のような組織を介して固定されています。なお、歯根膜も歯に直接付いているわけではなく、歯根の表面のセメント質を介しています。歯根膜がないと歯は歯槽骨から抜けてしまうので、歯根膜が歯を歯槽骨にとどめておくために果たしている役割はとても大きいです。
歯周病の原因は細菌による感染です。細菌が歯周組織に炎症を起こすことで、歯周病は起こります。その歯周病の炎症の多くは、まず歯肉から始まります。そして進行していくと、歯を支えている歯槽骨にまで炎症が広がってきます。歯槽骨まで炎症が進んでしまうと、歯を支えることが出来なくなり、次第に歯がグラグラと揺れる様になります。そして、歯の周囲の歯槽骨が無くなると、歯は抜けてしまいます。

2.歯が抜けたときの応急処置

歯周病で歯が抜けたときは、まず戻すことは出来ません。しかし、外傷が原因で抜けたときは、戻せる可能性があります。

2-1.抜けた歯

抜けた歯は、乾燥させてはいけません。乾燥により、歯根周囲の歯根膜が傷んでしまいます。歯根膜がどれだけしっかりと残っているかが、抜けた歯の予後を左右します。生理食塩水があればそれに浸すようにして保存してください。生理食塩水がなければ、牛乳やイオン飲料水でも構いません。最近は、脱臼歯の保存液が市販されております。
また、歯に砂等の汚れが付着しついていても無理に洗わない様にしてください。歯根膜やセメント質を機械的に傷つけてしまうおそれがあるからです。

2-2.出血

歯が抜けたところからは、出血してきます。清潔なガーゼ等を噛んで、患部を圧迫して止血する様にしてください。数分で、出血は止まるはずです。また、歯が抜けた歯肉のなかをむやみに刺激するのはやめてください。

2-3.欠けた歯の破片

歯の一部が欠けてしまった場合、その破片も一緒に保存しましょう。状態により、接着できる場合があります。

3.歯科医院での脱臼した歯の治療法

まず初めに、出血等の軟組織の状態を確認します。
そして、レントゲンや場合によってはCTを用いてX線撮影を行い、骨の状態や歯の破片がないかなどを確認します。
軟組織の損傷がある場合は、止血・縫合等の処置を行います。

3-1.完全脱臼

まず抜けた歯を生理食塩水で洗います。このとき、歯根膜やセメント質を傷めない様に洗浄するのがポイントです。
局所麻酔を行い、歯が脱落した歯肉の窩を確認して生理食塩水にて洗浄後に、脱落した歯を戻します。窩と脱落歯が合う場合は本来の位置と思われますが、本来の位置が分かりにくい場合には、隣在歯や対合歯との位置関係、嚙み合わせや咬合接触を考慮した位置へ戻します。
そして、固定の処置を行います。固定とは、抜けた歯とその隣にある歯を一時的に
固定して、脱落歯を動かないようにする処置のことです。多くの場合、金属ワイヤーをレジンと呼ばれる接着剤を使って止めます。なお、固定期間は状態により、3〜4週間前後となります。
感染予防目的に抗菌薬を、痛み止めに鎮痛剤を処方します。
歯周組織からの血液や浸出液の影響がある場合は、動揺歯の固定が外れやすいことがあります。外れてしまうと十分な固定が得られませんので、しばらくは経過観察のために通院してもらう必要があります。
固定を外した後もしばらくの間、経過観察が必要となります。

3-2.不完全脱臼

不完全脱臼の場合も、歯を元の位置に戻す必要があります。
局所麻酔を行い、歯を元に位置に戻します。完全脱臼歯と比較すると、元の位置への再現は容易ですが、隣在歯や対合歯との位置関係、嚙み合わせや咬合接触等を診査して、完全脱臼歯の場合と同様に固定を行います。その後の経過観察等についても同様です。

まとめ

歯が抜けてしまう原因の多くは、外傷と歯周病です。
外傷による歯の脱落の場合は、元に戻せる可能性もありますので、冷静に応急処置を行って、歯科医院を受診する様にしましょう。
歯周病による場合は、元に戻すことはできません。歯周病による歯の喪失は、成年以降における歯の喪失原因のうち最大の割合を占めます。歯周病により、歯槽骨が吸収してしまい、歯を支えきれなくなり、歯は抜けてしまいます。外傷とは異なり、歯槽骨が無くなっているために、再植することができません。
歯周病の原因は、細菌です。歯の表面には白いものが付着していることがありますが、実はこれがその細菌の塊なのです。これをプラークといいます。歯みがきのコマーシャルなどでおなじみのプラークコントロールとは、この細菌を減らすことを意味しています。プラークコントロールの成否が、歯周病の予後に大きく影響します。そのためには、日々の歯みがきを丁寧に適切に行うこと、また、歯科医院で定期的に歯周病について診察を受け、歯周病が歯槽骨にまで影響が及ぶ前の早期に治療して、健康な状態を維持することが重要となります。

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【監修・執筆】田原 靖章

【監修・執筆】田原 靖章
所属:八千代(タハラデンタルクリニック)
略歴:2000年 東京歯科大学卒業
2000年 東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科補綴学専攻) 修了
2005年 東京歯科大学歯科補綴学第一講座 助手
2007年 東京歯科大学有床義歯補綴学講座 助教
東京歯科大学老年歯科補綴学講座 非常勤講師
2011年 タハラデンタルクリニック開設
2012年 ハイライフ加盟
日本補綴歯科学会 指導医・専門医
日本老年歯科医学会 指導医・専門医

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