風邪をひいたり、疲れがたまったりしたときに、ふと口の中をみると白い苔みたいなものがぽつぽつとついていたら、または、高齢の家族の方が病気になり体力が落ちてしまい、ふとその方の口の中をみてみたら、白いものがついていたりしたら、驚くことでしょう。
こういったときに、白いものを拭ってみたらすぐにとれたなら、それはカンジダである可能性が高いです。
そこで、お口に出来るカンジダ=口腔カンジダについてまとめてみました。
1.口腔カンジダ症ってなに?
口腔カンジダ症とは、お口の粘膜(口の表面の皮膚に当たる部分のことです。)についた白い苔状の付着物のことです。
これの特徴は、ガーゼなどで拭えば簡単にとれることです。言い方を変えれば、拭ってもとれない場合は、カンジダでない可能性が高いということです。
しかし、中には白い苔状の付着物を伴わないタイプもあります。
1-1.口腔カンジダ症の原因ってなに?
口腔カンジダの原因は、カンジダ属に分類される真菌というカビの一種です。
なかでも、カンジダ・アルビカンス(Candida.albicans)とよばれる真菌が原因となることが多いです。
最近では、カンジダ・グラブラタ(Candida.glabrata)というタイプも増えつつあります。
口の中にカビが生えるというと、驚かれるでしょうが、原因となるカンジダは常在菌といって、誰もがもともと持っているものなのです。
健康な状態の人であれば、免疫力が正しく機能しているために、ある一定以上に菌が増えることがありません。免疫力とは、身体が本来持っている異物や細菌を排除しようとする働きのことです。免疫力がきちんと作用して身体を守ってくれている間は、カンジダはその数も抑えられ、他の菌と共存しています。
そのために病的な症状として現れてくることはありません。しかし、何らか理由により免疫力が下がった時に、カンジダの増殖を抑えることが出来なくなり、カンジダ症を発症することになります。
健康な状態では感染症の症状を発現しないのに、免疫力が下がった時に発症してしまう感染症のことを、日和見感染といいます。
カンジダは日和見感染を起こす代表的な病原菌のひとつです。
1-2.口腔カンジダ症の症状ってどんなものなの?
口腔カンジダ症は、その症状か白いコケ状のものが口腔粘膜につくタイプと、そうでないタイプに分けることが出来ます。
1-2-1.偽膜性(ぎまくせい)カンジダ症
お口の中の粘膜に白い苔状の付着物を認めるタイプのカンジダ症です。
一般的に口腔カンジダ症といえば、偽膜性カンジダ症を指します。お口の中の粘膜の白い苔状の付着物は、ガーゼなどで拭えば簡単に剥がれるのが特徴です。
剥がれた後には、発赤やただれがみられることがあります。なお、痛みを感じることはほとんどありません。
1-2-2.萎縮性(いしゅくせい)カンジダ症
偽膜性カンジダ症とは異なり、白い苔状の付着物は認められません。
萎縮性カンジダ症の症状は、お口の粘膜が赤くなり、特に舌の場合は、舌表面のぶつぶつ(これを舌乳頭といいます。)が小さくなり、平になってくるのが特徴です。
痛みを伴うことが多く、舌に発生した時には、味がわかりにくくなる味覚障害を引き起こすことがあります。
2.口腔カンジダ症を発生させやすくする要因
免疫力が低下することが、口腔カンジダ症を引き起こす要因です。免疫力が低下する原因は、全身的要因と局所的要因にわけることができます。
2-1.全身的要因
2-1-1.新生児
生まれた直後の赤ちゃんは、細菌やウィルスに対する抵抗力をまだ身につけていません。
そのために、舌などに口腔カンジダ症を発症することがあります。この場合、一般的には経過観察となることがほとんどです。
2-1-2.免疫力を低下させうる病気
免疫直を直接低下させる病気に後天性免疫不全症候群、いわゆるエイズ(AIDS)があります。
この病気は、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)が、人間の免疫系を働かせないようにするのが特徴です。後天性免疫不全症候群になりますと、日和見感染をおこしやすくなることが知られています。
また、糖尿病も免疫力を低下させてしまう病気です。糖尿病になると、細菌に感染より化膿しやすくなったり、化膿した部分やケガの治りが悪くなります。糖尿病は、口腔カンジダ症を引き起こしやすくします。
他、悪性腫瘍も口腔カンジダ症を起こすことがあります。悪性腫瘍の特性として、腫瘍が大きくなる過程で、身体が本来必要とする栄養素を過剰に消費してしまいまうことがあげられます。
これにより体力が下がり、それにともない免疫力も低下してしまいます。そして、悪性腫瘍の治療として化学療法、いわゆる抗がん剤治療や、放射線治療が行なわれます。
これら悪性腫瘍の治療法は、副作用として免疫力を低下させてしまう側面を持っています。この結果、口腔カンジダ症を発現することがあります。
2-1-3.免疫力を低下させる薬
病気の治療には、症状に応じてさまざまな薬が用いられます。
そのなかには、免疫抑制剤という免疫系そのものの働きを低下させる目的の薬があります。
また、副腎皮質ステロイド剤も、長期的に使うと免疫系が低下してくることが知られています。こうした薬を使った治療を受けていると、免疫力の低下から口腔カンジダ症を発症することがあります。
2-2.局所的要因
お口の環境の悪化も口腔カンジダ症を発現させることがあります。
2-2-1.口腔乾燥症
お口の中は、本来唾液などのために潤っているのが正常な状態です。ところが、加齢や放射線治療などで唾液の分泌量が低下することがあります。
唾液の中には抗菌作用を示す成分がありますが、唾液の量が減ると必然的にこうした成分も減少してしまいます。また、お口の粘膜は、皮膚とは異なり乾燥に弱い性質があります。こうしたことにより口腔カンジダ症を発症しやすくなります。
2-2-2.口腔清掃不良
お口の中をきれいな状態に保っていなければ、さまざまな細菌が繁殖する温床となります。カンジダに代表される真菌も例外ではありません。
例えば、入れ歯をつけている場合に、毎食後外してきれいに洗っていないと、義歯の表面にカンジダが付着していることがあります。
きちんとお口のケアが出来ていないと、口腔カンジダ症を起こしやすくなります。
3.口腔カンジダになったらどの科を受診すればいいの?
お口のことですので、一般的には歯科、特に歯科口腔外科になります。
専門的に診てもらえる歯科がない場合は、皮膚科が診察することもあります。
これらの科では、口腔カンジダを疑わせる患者が受診した場合、その白いコケ状を呈しているところを綿棒で拭って、細菌検査を行い、カンジダを特定し、確定診断を得るようになります。
4.口腔カンジダの治療はどうするの?
4-1.口腔カンジダの治療方法について
口腔カンジダ症の治療は、抗真菌薬による薬物治療となります。
抗真菌薬は、真菌の細胞に作用し、その増殖を抑えたり、殺真菌作用を示したりする薬です。ただし、副作用もありますので、注意して使う必要があります。
抗真菌薬にはいろいろな種類がありますが、口腔カンジダ症に適応があるのは、製品名がフロリードという名称のイミダゾール系抗真菌薬になります。
フロリードの中にも軟膏タイプや注射剤がありますが、口腔カンジダ症に対してはそのうちのゲルタイプのものが用いられます。
4-2.フロリード・ゲル(経口用)について
フロリード・ゲル(経口用)は、1本5グラムのチューブ状の薬です。これを1日あたり10〜20グラムを毎食後と寝る前の計4回に分けて使います。ですから、1回あたり、0.5本か1本ということになります。
フロリード・ゲルを口腔カンジダ症の部分に塗布して使うのですが、お口の中全体に広がっている場合は、できるだけ長い間お口の中に含み、その後飲みます。
投与期間は、最大で14日となっていますが、使い始めて7日たったころに、症状に改善が認められない場合は、中止する必要があります。
4-3.カンジダが消えた後は
抗真菌薬が効いて、カンジダが消失した後は、再発を防止するために、お口の中の状態をきれいに保つことが大切になります。そのためには、日々のお口のケアが欠かせません。
また、お口が乾燥傾向にありますと、お口が本来持っている抵抗力が下がってしまい、カンジダが発生しやすい環境を作ってしまいます。
乾燥傾向があれば、サリベートなどの人工唾液を用いて保湿を行い、乾燥症状に応じてサラジェンやエボザックなどの唾液分泌を促進するための薬を処方して乾燥状態を改善する必要があります。
まとめ
口腔カンジダ症は、真菌症の一種です。真菌症とはいわゆるカビのことです。真菌自体は、常在菌と言って、もともと人間の身体に住み着いている菌ですので、誰もが持っています。
健康な状態の人であれば、症状が現れることはまずありませんが、エイズのような免疫不全症候群、糖尿病などの免疫力が下がるような病気にかかったり、高齢者で体力が低下していたり、免疫力を下げる薬を使っていたりするような場合などに、発症する傾向があります。
その症状は、お口の粘膜の表面についている、指で拭えばすぐに取れる白いコケ状の塊として現れます。もし、こういった症状を認めた場合は、抗真菌薬などを用いて治療することになります。そして、カンジダが消失した後は、再発を防止するために口腔ケアをしっかりと行い、もし乾燥傾向があれば、乾燥状態を改善するように努める必要があります。
カンジダは健康状態が悪化した時に現れてくるシグナルのようなものといえるかもしれません。健康管理をしっかりと行ない、カンジダ症にならないようにしましょう。
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