2019.11.15

部分入れ歯の違和感を驚異的に少なく!装着感の良い入れ歯の種類

部分入れ歯の違和感を驚異的に少なく!装着感の良い入れ歯の種類

入れ歯をご使用の方のお悩みで特に多いのが、入れ歯を装着した時の「違和感」です。
違和感のせいで入れ歯を外したまま過ごしてしまう方もいらっしゃいますが、入れ歯をしないとお食事や会話をされる際に不便な事が多いと思います。
又、入れ歯をしない事で他の歯に負担が掛かってしまったり、歯が無い箇所の骨が減ってしまったりなど、お口の中に様々な影響も与えてしまいます。
入れ歯の違和感をどうすれば軽減出来るのか、今回は違和感の少ない入れ歯の種類についてご紹介致します。

1.入れ歯と違和感

1-1. 部分入れ歯の動き

入れ歯の違和感の原因の一つは、部分入れ歯がお口の中で動いてしまう事です。
部分入れ歯は健康な歯にクラスプという金属のバネを掛けて入れ歯を安定させます。

失った歯が少数の場合は、通常失った箇所の両隣の歯にクラスプを掛けますが、奥の歯を連続して失っている場合は手前の歯にのみクラスプを掛ける事になる為入れ歯がお口の中で安定しづらくなります。
こういった場合、少し入れ歯の形は大きくなってしまいますが、反対側の歯にもクラスプを掛けて安定性を高める方法があります。
入れ歯その物の大きさは増してしまう為、それぞれの形のメリット・デメリットを歯科医師とご相談下さい。

奥歯がない場合の部分入れ歯

1-2. クラスプによる締め付け

部分入れ歯をご使用の方は、クラスプがきつく感じられる事があるかもしれません。
クラスプがゆるいと外れやすくなり、入れ歯の動きにも繋がってしまいますが、きつ過ぎる場合は状態に合わせてある程度は調整が出来る可能性があります。
クラスプが原因の違和感がある方は、一度クラスプを掛ける歯の状態と合わせて歯科医師に診てもらって下さい。
クラスプの締め付け

1-3. ノンクラスプデンチャー

部分入れ歯をご使用の方の中には、ノンクラスプデンチャーをご使用の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
審美的にクラスプを気にされる方が多く、そういったお悩みを抱えた方に適した部分入れ歯にノンクラスプデンチャーがありますが、クラスプ部分が金属ではなくピンク色の特殊なプラスチックで出来ています。
歯茎の色と馴染み入れ歯だと気付かれにくい入れ歯ですが、金属のクラスプと比較すると強度が弱く安定性に欠ける一面があります。
その為、金属のクラスプが付いた入れ歯よりもお口の中で動きが出てしまい、違和感に繋がってしまう事があります。
「スマイルデンチャー」「ソフトデンチャー」など様々な名称があり、通常のプラスチックとは違い撓みやすく柔らかい材質を使用する事によりお口にフィットさせる働きがありますが、患者様によってはその柔らかさが噛み合わせを安定させられずに違和感になってしまう場合もあります。
ノンクラスプデンチャーの中にも使用する材質や性質が異なるものがありますので、作製される前に詳しい説明を受けて下さい。
ノンクラスプデンチャー

1-4. 厚みによる違和感

歯を失った本数が多い場合は、総入れ歯に近い形の大きな入れ歯を装着する事になります。
総入れ歯に近い形の部分入れ歯は、上の入れ歯の場合上顎を覆う面積が広くなる為、保険の入れ歯や、自費でもプラスチックの入れ歯をご使用の方は入れ歯の厚みによる違和感を強く感じられる方がいらっしゃるかと思います。
ご使用頂くにつれて慣れるものではありますが、なかなか慣れる事が出来ない方もいらっしゃいます。
もし保険の入れ歯やプラスチックの入れ歯をご使用の場合は、金属の入れ歯にして頂く事で違和感を軽減出来るかもしれません。
保険適用外にはなってしまいますが、厚みによる違和感でお悩みの方は是非ご検討下さい。

入れ歯の厚みイメージ図

2.違和感を軽減する金属床とは

2-1. 金属床の特徴

金属床は、入れ歯の上顎を覆う部分がプラスチックではなく金属になったものです。
保険の入れ歯は全体がピンク色をしていますが、ピンク色の部分はプラスチックで出来ています。
プラスチックは材質上ある程度の厚みを出さなければ割れやすくなる為、その分違和感を感じやすくなってしまいます。
反対に金属は薄くても強度に優れている為、プラスチックの入れ歯の厚みが約3mmであるのに対し、金属床は0.5mmの薄さで作製する事が出来ます。
自費で作製するプラスチックの入れ歯は、保険の入れ歯とは違う特殊なプラスチックを使用する為保険のものよりも強度に優れていますが、1.5〜2mmの厚みがあり、金属床程薄く作製する事は出来ません。
総入れ歯の厚みによる違和感には、金属床が一番適していると言っても良いでしょう。

プラスチックと金属の入れ歯比較イメージ

2-2. 金属床の種類

金属床に使用される金属は3種類あります。
まず、最も一般的な金属床がコバルト床で、金属床の中では最も安価に作製する事が出来ます。
次に、チタン床があります。
チタンはインプラントや心臓ペースメーカーに使用される程、金属アレルギーを起こしにくい身体に優しい金属です。コバルトよりも多少軽く薄く作製する事が出来ます。そしてゴールド床は金属床の中では最も高価ですが、ゴールドは柔らかい金属である為歯茎に馴染みやすい材質です。
ゴールドも金属アレルギーを起こしにくく、コバルトやチタンに比べ熱伝導性にも優れています。

3.金属床のメリットとデメリットは?

3-1. メリット

薄く作製出来る

髪の毛が一本お口に入っただけでも気持ち悪く感じる程、お口の中は繊細です。
その為、入れ歯を薄く作製出来るのは大きなメリットです。
ものを飲み込みにくい、気持ちが悪いといった厚みが原因となる違和感を軽減する事が出来ます。

割れにくい

絶対に割れないという訳ではありませんが、プラスチックの入れ歯よりも噛み締めた時の力などで割れる心配が少ない入れ歯です。

温度を感じられる

プラスチックは熱を通しにくい為、お食事や飲み物を召し上がる際に冷たさや温かさを感じられず、入れ歯にしてから「味がしなくなった」と悩んでおられる方も多くいらっしゃいます。
又、温度を感じにくい事で熱い飲み物を召し上がる時などは飲み込む時まで熱さが分からず、喉を火傷をしてしまうという事もあります。
金属の入れ歯は熱伝導性に優れているので、冷たさや温かさを感じながら美味しくお食事を召し上がって頂く事が出来、温度を感じる事で火傷も防ぐ事が出来ます。

3-2. デメリット

修理しにくい

プラスチックの入れ歯は、調整や修理が必要となった時に材料を足して裏打ちする事が出来ますが、金属床の場合は金属とプラスチックの接着が難しいのがデメリットです。
長期間調整をされず、お口の状態と入れ歯の状態の変化が大きくなってしまった場合、プラスチックの入れ歯に比べて作り替えなければならない可能性が高くなります。

高価である

金属床は保険適用外の入れ歯です。
又、使用する材料が金属である事からも作製に掛かるご料金が高額になってしまいます。
歯科医院によってご料金は異なりますが、よくご検討頂き作製して下さい。

4.金属床以外で違和感を軽減出来る入れ歯

4-1. 馬蹄形の入れ歯

上顎が覆われるのがどうしても気持ち悪いという方は、残っている歯の本数や位置などお口の中の状態によっては馬蹄形の入れ歯を作製出来るかもしれません。
馬蹄形の入れ歯は上顎に掛かる部分が少なく、下の総入れ歯の形に近い入れ歯なので、入れ歯の厚みによる違和感でお悩みの方にはそれまでより軽減出来る可能性があります。
しかし、必ず作製出来るという訳ではありませんので、ご希望の方はお口の中の状態を検査してもらって下さい。

馬てい形の入れ歯

4-2. コーヌスクローネ

コーヌスクローネは歯の根を残せる場合に、その根に金属の土台を立て、土台にぴったりと合うように入れ歯にも茶筒の蓋のようなものを設けます。
入れ歯が土台にしっかりと被さるので、クラスプを掛けなくても安定感があり、入れ歯そのものの大きさもコンパクトに収まります。
しかし、作製には大変高度な技術が必要な為取り扱っている歯科医院は少なく、作製出来でも100万円を超える高額なご料金が必要となります。

コーヌス入れ歯

まとめ

入れ歯の違和感の原因は様々ですが、調整で改善されない場合はご自身に合ったタイプの入れ歯をお作り頂く事で改善出来るかもしれません。
長く快適にご使用頂けるよう、どういった点でお悩みなのかを歯科医師にご相談頂き、適したタイプの入れ歯を見付けてみて下さい。

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【監修・執筆】小林 紀彦

【監修・執筆】小林 紀彦
所属:多摩(わかば小林歯科医院)
略歴:1991年 日本大学松戸歯学部卒業
1991年 日本大学松戸歯学部 補綴学第I講座入局
1993年 三菱マテリアル歯科診療室 兼務
1996年 IADR国際歯科学会 発表(サンフランシスコ)
2003年 わかば小林歯科医院 開院
2015年 ハイライフ加盟
日本大学松戸歯学部口腔健康学講座 顎口腔機能治療学分野 兼任講師
1996年IADR国際歯科学会で入れ歯材料の精度について発表

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