2019.12.13

定期的な歯科検診がもたらす将来の歯への4つの大きな利点

定期的な歯科検診がもたらす将来の歯への4つの大きな利点

歯科での定期検診は、何を目的に行っているのでしょうか?それは、虫歯や歯周病だけでなく、口の中の異常のチェックをするために他なりません。
定期的な歯科検診では、どんなことを行っているのでしょうか?また、むし歯や歯周病が早く見つかるとどのような利点があるのでしょうか。そこで、定期的な歯科検診によるメリットについてまとめてみました。

1.一般的な定期検診の内容

1-1.問診

問診では、医療者側にはわからない情報を聞き出します。

1-1-1.現症

現症とは、いま気になっている症状のことです。例えば、”冷たい物がしみる””口を開けると顎が痛い”とかいったことです。もし、こうした症状があるなら、重点的に診ていくことになります。

1-1-2.既往歴やアレルギー

今まで治療を受けたことのある病気(これを既往歴といいます。)があるかどうかを聞きます。
もし、そして既往歴がある場合は、その病名や治療内容、現在使っている薬がないかどうかを聞きます。その内容によっては歯科治療上、慎重を期する必要があることもあるからです。
また、アレルギーの有無も大切です。アレルギーについては、薬品だけでなく、食べ物のアレルギーについても聞きます。
なぜなら、例えばラテックスという診察用手袋によく使われる天然ゴムのアレルギーと、ある特定の果物のアレルギーが関連しているように、診療の際に直接食べ物を扱うわけではないのですが、間接的にアレルギー反応を発現するリスクのあるものがあるからです。

1-1-3.生活習慣

生活習慣に関しても大切な情報ですが、やはりこれも聞いてみないことには知り得ません。
例えば、たばこです。たばこは口の中に直接作用しますから、その影響は見過ごせません。歯のヤニやたばこ独特の口臭だけでなく、歯周病を悪化させるのはもちろん、舌ガンや歯肉ガンなどの悪性腫瘍の原因にもなってくるからです。
また、食生活の内容も重要です。コーヒーや緑茶、ワインなどは歯の着色の原因になってきますし、甘い物を日常的に摂取しているとむし歯のリスクが上がります。酸味のきつい食べ物を好む傾向があると、歯の表面が溶けてくることもあります。
そして、食後の歯磨きの回数や方法などの歯のケア状況もかかせません。むし歯や歯周病のコントロールのために大切なことだからです。

1-2.視診・触診

視診とは、肉眼的に異常がないかどうかを診るもので、触診とは触れて異常の有無を調べる診査です。

1-2-1.歯の欠損の有無やはえ方のチェック

歯の数がきちんと揃っているか、歯が抜けたままにしてあるところがないかどうかをみます。噛み合わせについても、入れ歯があればその合い具合も合わせてみていきます。

1-2-2.歯の形態異常のチェック

歯の付け根が磨り減っている”くさび状欠損”という状態になっていないか、歯が過度に磨り減っていないかをチェックします。

1-2-3.むし歯のチェック

むし歯があるかどうか、もしある場合は、どの歯のどの面にどのくらいの大きさのむし歯が出来ているかをみます。

1-2-4.歯石と歯茎の状態のチェック

歯茎の腫れの有無や色具合は、歯茎の状況を把握する上で大切な要素です。そして、歯石の有無も歯茎に影響してきます。特に、歯の表面についている白色の歯石だけでなく、歯茎の中にまでついている黒い色の歯石があるかどうか、どの歯に多いかなどを診ていきます。

1-2-5.磨き残しのチェック

歯と歯の隙間など、食べ物が残っていないかどうかを診ます。また、歯の表面にプラークとよばれる白いカス状のものがついていないかもチェックします。そして、必要に応じて、歯の表面を赤い染め出し液で、染色しプラークの付着状況を確認します。

1-2-6.顎関節のチェック

お口の開け閉めに際し、顎の動きに異常がないかどうかを診ます。

1-2-7.その他のチェック

腫瘍ができていないかどうか、唾液が減少して口の中が乾燥傾向になっていないかなど、診ていきます。

1-3.歯周病検査

歯と歯茎の隙間のことを”歯周ポケット”といいます。この歯周ポケットは、深さ3[mm]以内が正常であるとされます。もし、3[mm]を超えますと歯周病であると判断されます。そこで、歯周病検査として、全ての歯の周囲4カ所ほどの歯周ポケットの深さを測定します。また、その際に出血してくるかどうかも歯周病の重要な所見のひとつです。

1-4.レントゲン検査

レントゲン検査は必ず行なうものではありません。被曝量を最小限に留めるために、必要であると判断されたときに限り、撮影して検査します。むし歯の深さや大きさ、位置のチェック、歯周病による骨への影響のチェック、顎関節の骨の状態のチェックなどのときに、撮影します。また、稀に唾石とよばれる石の様な硬い出来物がレントゲン写真で偶然発見される事もあります。唾石は自覚症状がなく経過している事が多いので、レントゲン写真を撮らないとわからないのが一般的です。

2.必要に応じて追加される検査の例

2-1.CT検査

レントゲン写真を撮影してみたところ、親知らずに異常があったり、また上顎洞という鼻の隣にある空洞が曇っていたりしたときには、CT検査を追加で行ない、より細かく診ていく事になります。

2-1-1.親知らずのCT検査

親知らずを認めた場合は、CT検査で親知らずのはえている向き、歯根の形態とその数及び方向、隣り合う歯との位置関係をまず確認します。
それに加えて、下顎の親知らずの場合は、親知らずの直下にある下顎管とよばれる神経や動脈が走っている管との位置関係を確認します。もし、この下顎管を損傷すれば、下顎神経という下顎の先や下唇の感覚を司る神経が傷つき、その部分の感覚が鈍くなることがあります。
また上顎の場合は、上顎洞という鼻の隣、目の下にある大きな空洞との位置関係や周囲の骨の厚みを調べます。

2-1-2.上顎洞のCT検査

副鼻腔とよばれる鼻につながる空洞が頭には合計4カ所あります。上顎洞はその一つで、鼻の横、目の下、耳の前にあります。蓄膿になると膿が貯まってきますが、ここ上顎洞にもたまってきて、鼻づまりの原因になったりします。レントゲン写真で、この上顎洞が炎症を起こしている可能性が認められれば、CT検査でどれくらい上顎洞内に膿が貯まっているかを調べます。

2-2.血液検査

歯周病の進行具合はさほどではないのに口全体から出血している様な状態や、その他、特に親知らずに多いのですが、大きく腫れているときがあります。このような場合は、血液を採取して異常がないかを調べる事があります。

2-3.歯周病菌検査

歯周病の原因は、歯周病菌という細菌です。歯周病の症状が強い場合、複数の歯がグラグラしていたり、歯茎が全体的に赤く腫れていたり、膿を出していたりします。こうしたときに、唾液を採取して歯周病菌の種類や活動性を調べることがあります。

2-4.むし歯菌検査

むし歯の原因は、ストレプトコッカス・ミュータンスなどのむし歯菌です。親御さんにむし歯が多発している場合に、自身のむし歯のリスクのコントロール目的以外に、赤ちゃんがいる場合、赤ちゃんにむし歯菌がうつるリスクを下げるためにも、親の唾液を調べて、むし歯菌の量や活動性を調べることがあります。

3.定期検診の間隔

3〜4ヶ月おきである場合が多いですが、これは歯石が付いてくるのにかかる日数が一般的に3か月程度かかる場合が多いことによります。もちろん、歯石以外にもきちんと磨けているか、歯茎が腫れやすい傾向にあるかなど、他の要素も忘れることはできません。
実際のところ、検診の間隔は検査を受ける人の歯磨きの状態や、歯石の付き具合などによって変わってきます。毎食後、きちんと歯を磨けているならいいのですが、もしきちんと磨けていないとやはり検診の間隔は短くなりますし、お口の状態が常にきれいに保たれていれば、その逆もありえます。
ところで、歯石は唾液に含まれている成分から作られます。いくら丁寧に歯磨きをしていてもできてしまう理由がここにあります。歯石のつき具合も個人差があり、非常につきやすい人もいれば、つきにくい人もいます。歯石のつきやすさも、検診の間隔を決める重要な要素の一つです。

4.定期検診がもたらす4つの大きな利点

4-1.むし歯の早期発見

むし歯を早い段階で見つけることが出来ます。もし、初期の小さな段階でむし歯を見つけることが出来れば、コンポジットレジン充填という治療ですむかもしれません。これは、むし歯を削って、その日のうちにコンポジットレジンとよばれるプラスチックを詰めて治療が完了するというむし歯治療のひとつです。しかも、歯の色に合わせて白いプラスチックを詰めますので、見た目も非常にきれいです。
むし歯治療は時間がかかるイメージがありますが、あくまでも進行したむし歯の場合です。初期の小さなむし歯であれば、その日のうちに終わらせる事も不可能ではありません。

コンポジットレジンでの修復

・コンポジットレジンついては、以下の記事で詳しく説明しています。
虫歯を削らずに保険で白く治療!コンポジットレジンとは

4-2.歯周病の改善

歯周病は、生活習慣病の一種です。生活習慣病というと高血圧症や糖尿病が思い出されますが、歯周病もそうなのです。
現時点では、生活習慣病を完治させるのは非常に難しいです。ですから、高血圧症や糖尿病は薬を飲み続けなければなりません。
しかし、歯周病は歯周病菌が歯茎や歯を支える骨を傷つけることで進行していくことがわかっています。しかも、歯周病菌の増殖しやすい環境条件もわかっています。
定期検診をうけることで、歯周病を早期に発見することができれば、歯周病をコントロールすることが可能になります。30代以降の歯を失う原因は、歯周病がほとんどです。歯周病をコントロールできれば、歯を長持ちさせることが出来るようになります。

4-3.腫瘍の早期発見

舌や歯茎にできることが多いのですが、良性か悪性かを問わず、腫瘍が早期に発見できれば、より小さく摘出または切除することができるので、メリットは大きいです。

4-4.治療期間の短縮と治療費用の低減

虫歯や歯周病などのお口の異常を早期に発見できれば、治療に要する回数や期間もそれだけ短くすることができます。
忙しい合間を縫って、歯科医院に通うのはなかなか大変なことです。虫歯が大きかったり、多かったりしますと数ヶ月かかることもあります。そして、虫歯や歯周病などの異常が小さいうちに見つかれば、その分治療費も低めに抑えることができます。
年数回の検診を受けるだけで、歯科治療の回数や期間、費用を低減できるメリットは非常に大きいと言えます。

5.家庭でできるお口のケア

5-1.歯磨き

フロスの写真

歯のケアの基本は、やはり日々の歯磨きです。
毎食後、歯磨きをするのはもちろんですが、その際、デンタルフロスとよばれる歯磨き用の糸や歯間ブラシなど、歯磨き以外の道具もきちんと使うことが大切です。
また、磨き方には、人それぞれ癖があります。利き手がどちらかということも関わってきます。
磨き残しが多い部分をきちんと把握し、磨き残しが出ないよう、各自に合った磨き方を指導してもらい、丁寧な歯磨きを心がけましょう。

・歯磨き粉ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
歯周病に効き目あり!歯磨き粉14選!

5-2.フッ素

ジェルコートの歯磨き粉

歯を磨くことは大切ですが、歯を強くすることも大切です。
そのためには、フッ素が効果的です。国によっては、水道水に混ぜているところもあるくらいです。我が国では、そこまでは行われていません。そこで、フッ素の含まれたジェルやうがい薬を歯磨きが終わった後に使うことで、歯に虫歯に強い性質をもたらすことができます。

5-3.食生活

甘いものを食べすぎないことは、むし歯予防の点から重要なことなのですが、それ以外にも大切なことがあります。
それは、かみごたえのあるかたさの食べ物を、しっかりと左右両側の歯を使って咬むということです。
食べ物を噛むと、それが引き金となって唾液が出てきます。唾液の中には抗菌作用のある物質が含まれています。
それだけでなく、唾液にはpHを中性に近づける働きもあります。すなわち、唾液が出てくるということは、むし歯や歯周病対策にとっても有用なことなのです。

まとめ

むし歯や歯周病になっても、初期の症状の軽い段階ではなかなか気がつきません。けれど、そのような気がつきにくい段階で見つけることが出来れば、治療の期間も短くてすみますし、治療の費用も低く抑えることができます。
そのためには定期的な歯科での検診がとても大切です。そして、検診と検診の間の期間は、ご自宅での毎食後の歯磨きに代表されるお口のケアをしっかりと行ない、むし歯や歯周病の予防に努めてください。

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【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

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