2021.12.03

抜歯後の食事法と痛み・腫れを緩和する6つの注意点

抜歯後の食事法と痛み・腫れを緩和する6つの注意点

”歯を抜く”というのは、誰にとっても嫌な行為のひとつです。
抜歯後は、痛みや腫れ、出血を伴うため、生活や食事などにも支障が出てきます。
しかし、むし歯や歯周病などいろいろな原因によって、どうしても抜歯をしなければならくなることがあります。そんなとき、抜歯後の不快感を少しでも減らしたくなるのは当然だと思います。そこで、抜歯を受けた後の正しい対処方法についてご説明します。

1.抜歯後の歯ぐき

抜歯をした後の歯ぐきの治りは、いろいろな過程を経て進行していきます。
肉眼的には1ヶ月ほどで治りますが、骨が再生して最終的に落ち着くのには、半年から一年ほどかかります。

1-1.出血の開始

抜歯を受けますと、歯があったところの顎に穴が開きます。この穴のことを抜歯窩(ばっしか)といいます。抜歯窩の表面は、骨が露出した状態になっています。
もし、抜歯窩に膿の袋や、不良肉芽とよばれる炎症の原因となる様な組織があれば、取り除かなければなりません。
そして、抜歯窩に露出した骨の表面から出血が始まります。稀に、血管を傷つけたことで出血してくることがありますが、抜歯を受けた場合の出血は、このように骨面からの出血がほとんどです。この出血は、通常ガーゼなどを30分ほど噛むことで止ってきます。

1-2.血餅(けっぺい)の形成

抜歯窩にたまった血液は、固まって血餅とよばれる状態になります。
手足などの皮膚に傷を作った場合は、乾燥したかさぶたが出来ますが、お口の中は唾液で潤っているために、乾燥したかさぶたが出来ません。
血餅とは、乾燥していない、湿った状態のかさぶたのことをいいます。

1-3.上皮化(じょうひか)の始まり

抜歯後4日ほどで、抜歯窩の周囲から上皮化が始まります。上皮化とは、歯ぐきの再生のことと思ってください。

1-4.肉芽組織(にくげそしき)の形成

抜歯後1週間ほどで、血餅が肉芽組織に変わります。
肉芽組織とは、傷を埋めるために出来てくる組織のことです。傷が出来た場合、身体のどこにでも形成されます。この肉芽組織は血餅より強く抜歯窩にとどまってくれます。
そのため、脱落による抜歯窩の骨面が露出は、まずなくなります。

1-5.骨の再生の開始

抜歯後3週間ほどで、肉芽組織が結合組織とよばれるより強い組織に変化していきます。
そして、このころから抜歯窩に骨が再生し始めます。

1-6.抜歯窩の被覆

抜歯後30〜40日ほどで、抜歯窩は完全に歯ぐきで覆われます。

1-7.抜歯窩の骨の再生完了

抜歯後6〜12ヶ月ほど経過すると、レントゲン写真上でも抜歯窩が見えないくらいに骨がしっかりと出来てきます。

・抜歯後の止血については、以下の記事で詳しく説明しています。
抜歯後に血が止まらない/10つの原因と対処方法

2.抜歯後の食事について

2-1.抜歯後の食事の制限時間について

抜歯の際に局所麻酔を必ず行ないます。抜歯に使われる局所麻酔薬は、いろいろな種類がありますが、ほとんどの製剤について、麻酔の作用時間を十分確保する、麻酔薬が広がりすぎない様にするなどの理由により血管収縮剤が配合されています。
この効果で、局所麻酔は2〜3時間効果が持続します。もちろん、個人差がありますから、それよりも長い時間効き続けることもあれば、反対に早くさめてしまうこともあります。
局所麻酔薬が効果を持続している間は、舌や頬を噛んでも気がつかず、思わぬケガをしてしまうことがあります。そのため、この間は食事を控える様にしてください。

2-2.抜歯当日の食事について

おかゆ

麻酔がさめたら食事を再開していただくことができます。しかし、抜歯当日は、傷がまだ新鮮な上に、血餅がとても弱く、とれやすい状態になっています。そのため、軟らかく、そして刺激の少ない食べ物にしましょう。たとえば、おかゆ、雑炊などです。ただし、辛いもののように刺激性のあるものは避ける様にしてください。

2-3.抜歯翌日以降の食事について

抜歯翌日以降は、当日ほどの制限はなくなります。しかし、数日は唾液に血がにじむことが多く、食事の際の違和感や不快感は否めません。
食べ物の固さや形、味付けについては、翌日からいきなり普通の食事にするのは、避けてください。軟らかい形態のものから始め、痛みの具合などをみつつ、少しずつ普通の形態に戻す様にしましょう。

3.抜歯後の腫れについて

抜歯後の腫れについては、抜歯をした歯の部位や、骨の状態などの影響を過分に受けます。
前歯は比較的腫れにくいですが、下顎の親知らずの抜歯の場合、顔まで腫れてくることがあります。
しかし、腫れの程度には関係なく、腫れ自体は通常抜歯後24〜48時間をピークにして、それから数日〜1週間程度かけてひいてきます。
こうした腫れの経過は、抜歯に限らず身体の他の部位に手術を受けた場合とほとんど共通です。
もし、48時間を超えてもどんどん腫れてくる様な場合は、抜歯創に細菌感染がおきたり、抜歯窩に残された骨がとがっているなどの原因が考えられます。

4.抜歯後の痛みについて

のみ薬のイメージ

痛みに関しては、腫れとは異なり個人差による影響を受けやすい傾向があります。
しかし、たいていの場合において痛み止めの飲み薬で痛みのコントロールは十分可能です。
痛み止めの薬を痛いときだけ用いる屯用という方法で処方するか、毎食後痛み止めの薬を定期的に飲み、それでも痛む時に別種の痛み止めの薬を追加する方法で処方するかは、抜歯のときの状態や、抜歯の仕方、部位などによって、主治医が判断して決定します。
もし、飲み薬タイプの痛み止めの薬で痛みをコントロールすることが難しい場合は、坐薬タイプの痛み止めの薬を用いることがあります。

4-1.なかなかひかない抜歯後の痛みの原因

4-1-1.抜歯後治癒不全(ばっしごちゆふぜん)

歯槽骨炎(しそうこつえん)ともよばれます。抜歯窩の表面に露出した骨面に感染が生じた状態です。
骨面に感染が生じることで、表面部分的な骨の壊死が生じ、これが原因で強い痛みが起こると考えられています。
抜歯後に出血が少ないために抜歯窩が血餅に満たされなかった場合や、痛みがある様な状態で抜歯を行なった場合に起こりやすいとされます。もし、このような状態になった場合は、まずは生理食塩水で抜歯窩を十分洗浄し食べかすなどの汚れを取り除きます。そして、抗菌剤の軟膏を注入し、抗菌剤や鎮痛剤を処方して経過観察を行ないます。痛みが激しい場合は、これを毎日行なわなければならないこともあります。抜歯窩に不良肉芽がたくさんたまっている場合は、局所麻酔をした上でこれの除去を行なうことがあります。

・抜歯後の痛みについては、以下の記事で詳しく説明しています。
抜歯後に続く痛みはドライソケット?6つの原因と放置が危険な理由

4-1-2.抜歯窩の骨の鋭縁の存在

数本連続した様な歯や歯周病の歯を抜歯した時に多いのですが、抜歯した後に骨の角が鋭く残ることがあります。
もし、こうした鋭い角が残った場合は、歯ぐきに当たるので痛みが続くことが多いです。

5.抜歯後の腫れや痛みを和らげる6つの注意点

5-1.抜歯後の腫れ

抜歯後に腫れることは、通常の身体の反応であることが多いので、むやみにひかせようとする必要はありません。
しかし、どうしても押さえたい場合は、冷やすのが一番です。しかし、氷水や冷えピタなどで冷やすとかえって冷やし過ぎてしまい、よくないです。
しこりが残ったりする原因にもなります。冷やすとしても水道水程度の温度で冷やす様にしてください。

5-2.抜歯後の痛み

抜歯後に残る痛みについては、痛み止めの薬を使って取り除くことになります。
たいていの場合は、痛み止めの飲み薬で十分効いてきます。なお、飲み薬タイプの痛み止めの薬で効果が弱い場合は、坐薬タイプのものがありますので、こちらを処方することになります。

5-2-1.痛み止めの薬の飲み方

痛み止めの飲み薬は、飲んでから効果が出てくるまでに30分ほどかかります。
局所麻酔がさめそうな感じがしてきたら、早めに飲んでおいた方が良いでしょう。
また、薬によって差はありますが、おおむね6時間程度は間隔をあけて飲む様にしましょう。あまりに頻回に飲み過ぎると、胃を荒らす原因になることがあります。
そして、痛み止めの薬を飲むときは、コップ1杯程度の水で飲む様にしましょう。

5-3.当日のうがいを控えめにする

うがい

抜歯窩に形成される血餅は、とてもとれやすい特徴があります。特に、抜歯当日は弱い上にとれやすいです。うがいをするだけでもとれてしまうことがあります。
血餅がとれてしまうと、抜歯後治癒不全の原因になります。当日はなるべくうがいは控える様にしてください。そして、食後の歯みがきのときのうがいは、やさしくゆっくりするよう心がけてください。

5-4.禁煙

たばこの写真

タバコは、血管を収縮させる作用があります。
抜歯創を治すために必要な細胞は、血管を通して運ばれてきます。
血管が収縮することで、必要な細胞が届きにくくなることになりますので、治りが悪くなってしまいます。

5-5.禁酒

抜歯後には化膿止めや痛み止めの薬が処方されます。こうした薬にアルコールは影響します。
薬の効き目が変化することもありえますので、少なくとも薬を飲んでいる間のアルコールは控えましょう。

5-6.無理な抜歯は控える

むし歯や歯周病がひどくなりとても痛い時、このようなときを炎症の急性期といいます。
痛みがあまりに強く、しかも抜歯する以外に治療法がない場合、早く抜いてほしいと懇願されるときがあります。
しかし、急性期に抜歯を行なうことはよくありません。麻酔の効きにくい上に、抜歯後の痛みや腫れがよりいっそう強くなり、場合によっては痛み止めの薬が効かないほどになることもあります。
例えつらくても、無理に抜歯せず、薬で炎症の緩和を図ることが、抜歯後の症状を楽にする秘訣です。

まとめ

抜歯をすると、腫れや痛みがどうしても生じてしまいます。
できることなら、受けたくないのが本当のところでしょう。
食事の注意点、腫れへの対応、痛み止めの薬の使い方、禁煙や禁酒など、抜歯後の食事や生活、歯のケアなどを正しく守って、抜歯後の嫌な症状を少しでも軽く、そしてその期間も短くすることが出来ます。
抜歯せざるをえないとき、これらの点に気をつけてみてください。

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【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

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