2024.12.06

入れ歯で食べ物のカスが詰まりやすい原因と改善方法

入れ歯で食べ物のカスが詰まりやすい原因と改善方法

入れ歯は、歯を失った際にその機能を補うための重要な補綴装置です。特に50〜70代の方々にとって、入れ歯は日常生活の質を大きく左右する存在となっています。この記事では、入れ歯で食べ物のカスが詰まりやすい原因やその対策について詳しく解説します。

1.入れ歯で食べ物のカスが詰まりやすい原因とは?

入れ歯を使用している50〜70代の方々にとって、食べ物が詰まりやすいという悩みは珍しくありません。
この問題は日常生活に大きな影響を与え、食事の楽しみを減少させてしまうことがあります。では、なぜ入れ歯に食べ物が詰まりやすくなるのでしょうか。

詰まりやすくなる主な原因

フィット感の不良
入れ歯と歯茎の間に隙間ができると、そこに食べ物が入り込みやすくなります。
これは、歯を失うことで歯茎(土手)がやせてでこぼこになることが原因の一つです。でこぼこがあると入れ歯が密着しにくくなり、特定の部分に力がかかりやすくなります。

噛み合わせのバランス崩れ
食事の際、入れ歯で歯茎を押す力が均一でないと、特定の箇所に負担がかかり、そこに食べ物が詰まりやすくなります。

加齢による口腔内の変化
年齢を重ねると、歯茎がやせて粘膜が薄くなり、入れ歯のクッション効果が低下します。
また、唾液の分泌量が減少することで、口腔内の潤いが失われ、食べ物が詰まりやすくなります。

食材の選択
粘り気のある食品や細かい粒状の食べ物は、入れ歯に詰まりやすい傾向があります。

入れ歯の清掃不足
毎食後の適切な清掃を怠ると、入れ歯の表面に食べ物のカスが蓄積し、さらに詰まりやすくなります。

これらの原因に対処するためには、定期的な歯科検診が重要です。
入れ歯の調整や、口腔内の状態チェックを行うことで、詰まりやすさを軽減できる可能性があります。
また、日々の入れ歯のケアも欠かせません。
専用の歯ブラシと洗浄剤を使用し、毎食後に丁寧に清掃することが大切です。
食事の際は、小さく切った食べ物をゆっくりと噛むことで、詰まりを予防できます。
また、水分を十分に取ることで、唾液の不足を補い、食べ物の流れをスムーズにすることができます。

2.詰まりを放置するとどうなるのか?

詰まりを放置するとどうなるのか?
入れ歯の詰まりは、単なる不快感以上の問題を引き起こす可能性があります。
放置することで、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす恐れがあります。
ここでは、入れ歯の詰まりを放置した場合に起こりうる問題について詳しく見ていきましょう。

入れ歯でかんだときの痛み
食べ物のカスが、歯ぐきとの間に詰まったままになると、食事などものをかんだ時に強い痛みが出る場合があります。我慢していると歯ぐきが炎症を起こして、どんどん痛みが強くなり口腔内の状態が悪化します。

口臭の発生
食べ物のカスが入れ歯に詰まったまま放置されると、細菌の繁殖を促進し、不快な口臭の原因となります。これは社会生活にも悪影響を及ぼす可能性があります。

口腔内感染症のリスク増加
詰まった食べ物は細菌の温床となり、口内炎や歯周病などの感染症を引き起こす可能性があります。特に、義歯性口内炎のリスクが高まります。これは粘膜が赤く変色する症状で、上顎に発症しやすい傾向があります。

咀嚼能力の低下
詰まりによって入れ歯が正しく機能しなくなると、食べ物を十分に噛むことができなくなります。これは消化器系の問題につながる可能性があります。

栄養摂取の問題
咀嚼能力の低下により、食事の量や種類が制限されることで、必要な栄養素を十分に摂取できなくなる恐れがあります。

誤嚥性肺炎のリスク増加
入れ歯の手入れを怠ると、その上に繁殖した細菌を唾液と一緒に飲み込むリスクが高まります。
これにより、誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
東北大学大学院歯学研究科の調査によると、入れ歯の手入れを日常的に行わない人の肺炎リスクは、毎日手入れをする人と比べて1.30倍、75歳以上では1.58倍も高まるという結果が出ています。

入れ歯の劣化促進
詰まりを放置すると、入れ歯自体の劣化も早まります。
これは見た目の問題だけでなく、周辺の歯や歯ぐきへの悪影響も懸念されます。

心理的ストレス
食事の際に常に詰まりを気にしなければならないことは、大きな心理的ストレスとなります。
これが食事の楽しみを奪い、生活の質を低下させる可能性があります。これらの問題を防ぐためには、入れ歯の定期的なケアと適切な使用が不可欠です。毎食後の丁寧な清掃、就寝前の洗浄剤を使用した入れ歯の手入れ、そして定期的な歯科検診が重要です。

3.ご自宅でできる予防策

ご自宅でできる予防策のイメージ写真

入れ歯の詰まりを防ぐ基本のケア

入れ歯を清潔に保つことは、詰まりやすさを予防する第一歩です。日々のケアで気をつけるポイントを以下にご紹介します。

毎食後の洗浄
食事のたびに取り外して流水で洗い流しましょう。
専用の入れ歯ブラシを使うと、細かい汚れも取り除きやすくなります。特に歯と歯の間や裏側の溝部分は、汚れが溜まりやすいので丁寧に磨きましょう。

専用洗浄剤の使用
夜間は入れ歯専用の洗浄剤を使い、水またはぬるま湯で浸け置きしてください。
これにより、細菌の繁殖を抑え、詰まりの原因になる食べカスを分解することができます。

ブラッシングの工夫
歯ブラシを使う際は、専用ブラシを使用して、強く擦りすぎないようにしましょう。
表面を傷つけると、細かい傷に食べカスが溜まりやすくなり、詰まりを引き起こします。

適切な使用方法を心がける

入れ歯の使い方にも注意が必要です。

装着時の確認
入れ歯が正しい位置に装着されているか確認してください。
ズレていると、噛むたびに食べ物が入り込みやすくなります。

食事の選び方
入れ歯に負担をかけにくい柔らかい食品を選びましょう。
特に硬いものや粘着性の高い食品は避けるようにすることで、詰まりやすさを軽減できます。

保湿を忘れずに
入れ歯を装着していると口の中が乾燥しがちです。
水分補給を心がけ、口腔内を潤すことで、詰まりを防ぐ助けになります。

定期的な点検と見直し

ご自宅でのケアだけでは限界があることも。
入れ歯の状態は時間とともに変化するため、状態に応じて歯科医院での診察を受けることが大切です。

4. 歯科医院での専門的な対策

専門的なクリーニング

歯科医院では、自宅で取りきれない汚れや食べカスを徹底的に除去できます。

プロフェッショナルな洗浄
超音波洗浄や専用機器を使い、入れ歯の隅々までクリーンにします。
これにより、詰まりの原因となる細菌の増殖も抑えられます。

適合性の確認
入れ歯が正しくフィットしているかをチェックします。
ズレが生じている場合は調整を行い、隙間を減らすことで詰まりやすさを改善します。

入れ歯の修理や調整

長期間使用した入れ歯は、劣化や変形が進むことがあります。
必要に応じて修理や再製作を行うことができます。

リライニング(裏打ち)
入れ歯と歯茎の間に新しい材料を加え、フィット感を回復させる処置です。
これにより、隙間に食べ物が入り込みにくくなります。

フレームや素材の見直し
汚れが付きにくい素材への交換も検討できます。
最新の技術を取り入れることで、日々の使用感が向上します。

口腔内の総合的な診断

詰まりの原因が必ずしも入れ歯だけとは限りません。
歯科医院では、口腔全体を診断し、隠れた問題を特定できます。

歯茎や残存歯の健康チェック
歯茎や残存歯が弱っていると、入れ歯のズレが起こりやすくなります。
必要に応じて歯周病治療などのケアを行います。

嚙み合わせの調整
嚙み合わせが悪いと食べ物が入れ歯の隙間に詰まりやすくなります。
専門的な調整を行い、快適な装着感を取り戻します。

継続的なメンテナンス

最後に、定期検診を怠らないことが大切です。
少なくとも6か月に1度の診察を受け、状態をチェックしましょう。早期の対応が、入れ歯の詰まりやすさを根本から改善するカギです。

以上のように、歯科医院では入れ歯の詰まりに対する包括的なケアを提供します。
一人で悩まず、ぜひ歯科医院に相談してください。

5.よくある質問

入れ歯に関する疑問や不安は多くの方が抱えています。
ここでは、入れ歯使用者の皆様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

Q1.入れ歯はなぜ食べにくいのですか?
入れ歯で食事をする際、健康な歯と比べて噛む効率が大幅に低下します。
部分入れ歯の場合、健康な歯の50%以下の効率となり、総入れ歯では15〜20%程度まで低下します。
この効率の低下が食べにくさの主な原因です。

Q2.新しい入れ歯を作ったのに使いづらいのですが、どうすればいいですか?
新しい入れ歯に慣れるには時間がかかります。
毎日の食事をリハビリと考え、少しずつ使用時間を増やしていくことが大切です。
使いづらい原因を歯科医に相談し、必要に応じて調整を行うことも重要です。

Q3.入れ歯は寝るときも装着したままでいいですか?
基本的には、寝るときは入れ歯を外すことをお勧めします。
これにより、口腔粘膜や顎の骨への負担を軽減できます。
ただし、災害時の紛失リスクを考慮し、状況に応じて判断することが大切です。

Q4.虫歯や歯周病がある場合でも入れ歯は作れますか?
作ることは可能ですが、まずは虫歯や歯周病の治療を行うことをお勧めします。
口腔内の問題を改善してから入れ歯を作ることで、より快適で長持ちする入れ歯を作ることができます。

Q5.入れ歯を装着しているだけで痛くなるのはなぜですか?
無意識のうちに歯を噛みしめていることが原因かもしれません。
食事時以外は歯を合わせないよう意識することで改善する可能性があります。
また、入れ歯のフィットが悪い場合もあるので、歯科医院での調整が必要かもしれません。

Q6.入れ歯はどのくらいの期間で作り直すべきですか?
保険の入れ歯の場合、ルール上は約半年で新しいものを作ることができます。
ただし、個人の噛む力や使用状況によって異なります。

Q7.入れ歯を入れる時や外す時に痛みがあるのはなぜですか?
入れ歯の縁などが粘膜に当たって痛みを引き起こしている可能性があります。
歯科医院で調整することで改善できますので、我慢せずに相談しましょう。

Q8. 合わなくなった入れ歯を使い続けるとどうなりますか?
合わない入れ歯を使い続けると、口腔内の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、粘膜の炎症や潰瘍、発音障害、咀嚼機能の低下などが起こる可能性があります。
定期的な調整や交換が重要です。

6.まとめ

入れ歯に関する疑問や不安は、一人で悩まず専門家に相談することが最も確実です。
ハイライフグループでは経験豊富なスタッフが皆様のお悩みに対応し、快適な生活のお手伝いをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。この記事が皆様のお役に立てれば幸いです。

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修
所属:ハイライフグループ
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ハイライフの入れ歯治療は、初診で約1時間の検査を行いお悩みの原因を把握してから治療に進みます。現在のお悩みやご要望、お身体の状態などをじっくりお伺いして、お口の状態や、事前に治療が必要になる箇所、お悩みの原因になっている部分などを診察します。
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初診・検査料:5,000〜10,000円程度