2025.05.07

入れ歯の寿命は何年?長持ちさせたい人が知るべき6つの真実

入れ歯の寿命は何年?長持ちさせたい人が知るべき6つの真実

入れ歯をお使いの方の多くが、「この入れ歯、あとどれくらい使えるのだろう?」と不安に感じています。
実は入れ歯にも寿命があり、放置するとお口や身体に悪影響を及ぼすことも。
本記事では、入れ歯の平均寿命や寿命を縮める原因、長持ちさせるためのポイントを、歯科医師の視点で詳しく解説します。

1.入れ歯の寿命はどれくらい?

入れ歯の平均寿命は約5〜7年と言われる理由

入れ歯の寿命は一般的に5年から7年が目安とされています。
その理由は、入れ歯の素材であるプラスチック樹脂や人工歯が経年劣化するためです。
毎日の食事や会話で上下の歯がこすれ合い、人工歯がすり減ることが避けられません。
また、長期間使用することで入れ歯の裏側が傷ついたり、微細なひび割れが生じたりすることもあります。これらの傷は細菌の温床になりやすく、清掃しても汚れが残りやすくなるため、衛生面からも作り直しが必要になることもあります。
さらに、入れ歯を支える歯ぐきや顎の骨が年齢とともに痩せてしまうことも、寿命の一因です。歯ぐきの形が変われば、せっかく作った入れ歯も合わなくなるため、調整だけでは対応しきれず、新しい入れ歯を作ることになります。

このように、素材の劣化・人工歯のすり減り・お口の環境の変化という三つの要素が重なり、多くの場合5年から7年程度で寿命を迎えると考えられています。

部分入れ歯と総入れ歯で寿命に差はある?

入れ歯の種類によっても、寿命の目安は異なります。
部分入れ歯の場合、残っている歯の状態が寿命に大きく影響します。
支えとなる歯が虫歯や歯周病で抜けてしまうと、部分入れ歯は使用できなくなるため、その時点で修理か作り直しが必要です。
一方、総入れ歯はすべての歯を失った方が使用するため、支えとなる歯に左右されることはありません。
その分、適切なメンテナンスを行えば比較的使い続けることが可能です。
ただし、総入れ歯でも歯ぐきの痩せや顎の骨が変化することもあるため、最終的には5〜7年程度で作り直しされるのが一般的です。部分入れ歯の方が、支えとなる歯の状態によっては寿命が短くなる傾向にあります。

入れ歯の寿命は「使い方」「お口の環境」で大きく変わる

入れ歯の寿命は年数だけで決まるものではありません。
お口のなかがどのように変わるか、どのように使うか、どれだけ丁寧にお手入れをするかによって、寿命は大きく変わります。たとえば、硬いものを無理に噛む習慣がある方は、人工歯のすり減りや入れ歯の割れが早く進むこともあります。
また、お口の中の環境が変化することも無視できません。
歯ぐきが痩せる・顎の骨が細くなる・残存歯が抜けるといった変化は、入れ歯の安定性を失わせ、寿命を縮める原因となります。
さらに、糖尿病・骨粗しょう症・免疫力低下など、全身の健康状態もお口の環境に影響します。
こうした変化を放置すると、入れ歯がずれたり、噛み合わせが崩れたりし、結果的に新しい入れ歯が必要になります。
定期的な歯科医院でのメンテナンスや、正しい取り扱いと清掃習慣を意識することで、入れ歯の寿命を延ばすことは十分可能です。「作ったら終わり」ではなく、「使いながら守る」意識が寿命を左右すると言えるでしょう。

2.入れ歯の寿命が縮む5つの主な原因

2.入れ歯の寿命が縮む5つの主な原因
入れ歯の寿命は、単に時間が経ったからだけで短くなるものではありません。
日常生活の中にあるいくつかの要因が、入れ歯を傷め、寿命を縮める原因となります。
ここでは、特に注意しておきたい5つの原因について詳しくご説明します。

歯ぐきが痩せる・お口の環境が変わる

入れ歯を支える歯ぐきは、年齢を重ねるごとに少しずつ痩せていきます。
これは歯を支えていた骨(歯槽骨)が徐々に吸収されて減っていくためで、入れ歯を使っている限り避けられない現象です。さらに、糖尿病や骨粗しょう症といった全身の病気も、骨や歯ぐきの変化を早め、入れ歯がズレやすくなる原因となります。

残っている歯が抜けてしまう

部分入れ歯をお使いの方は、残っている歯が入れ歯を支える土台となっています。
そのため、虫歯や歯周病などで残存歯が抜けてしまうと、入れ歯全体の設計が崩れ、新たな入れ歯を作り直さなければならなくなります。一度歯を失うと、他の歯にも負担がかかるため、連鎖的に寿命が縮むケースも少なくありません。

人工歯のすり減り・破損

入れ歯に使用されている人工歯は、長年使用すると徐々にすり減ります。
特に、硬いものを好んで噛む方や、歯ぎしりの癖がある方は、人工歯の消耗が早く進みます。
人工歯がすり減ると、噛み合わせが低くなり、顎への負担が増えるだけでなく、食事や会話のしづらさにもつながります。
また、洗浄時や取り外しの際に落下させてしまう事故も、入れ歯の破損原因としてよく見られます。
主に保険で使用されるプラスチックの入れ歯は陶器の茶碗と同じように衝撃に弱く、割れやひび割れを起こすと修理が必要になります。

合わない入れ歯を無理に使い続ける

入れ歯が少し合わなくなったと感じても、そのまま使い続けてしまう方は少なくありません。
しかし、合わない入れ歯を無理に使うと、歯ぐきや顎の骨に余計な負担がかかり、炎症や骨の吸収が進行します。
このような状態での使用は、結果的に入れ歯の寿命を短くするだけでなく、お口全体の健康を損ねる原因になります。

お手入れ不足・誤った清掃方法

入れ歯は毎日のお手入れが欠かせませんが、正しい方法で行わないと劣化を早めます。
歯みがき粉でゴシゴシ磨く方がいますが、研磨剤が入っている為に、これは入れ歯の表面を傷つけ、汚れや臭いが付きやすくなる原因となります。また、水やお湯だけで洗う・乾燥した状態で放置することも、変形やひび割れを招きます。
さらに、専用洗浄剤を使わない・定期的な歯科医院での点検を怠ることで、見えない汚れや微細な傷が蓄積し、入れ歯の素材そのものの劣化につながります。

3.入れ歯を長持ちさせるために今日からできること

3.入れ歯を長持ちさせるために今日からできること
入れ歯の寿命は、日々の使い方とお手入れ次第で大きく変わります。少しの心がけで、入れ歯を快適に、長く使い続けることができます。ここでは、歯科医師が推奨する具体的なポイントをご紹介します。

毎日の正しいお手入れ方法

入れ歯は、毎日しっかりと清掃することが長持ちの基本です。
ただし、歯みがき粉を使ってゴシゴシ磨くことは避けましょう。歯みがき粉には研磨剤が含まれているため、入れ歯の表面に細かい傷がつき、そこに汚れがたまりやすくなります。
入れ歯専用のブラシと洗浄剤を使い、優しくなでるように洗うことが大切です。特に入れ歯の裏側やバネの部分は、汚れがたまりやすいため、念入りに洗いましょう。

定期的な歯科医院での調整・点検

入れ歯は作ったときのまま、何年も快適に使えるものではありません。
歯ぐきや顎の骨は年齢とともに変化し続けるため、定期的な調整が必要です。
目安としては3か月から半年に一度、歯科医院での点検を受けましょう。
入れ歯の裏側を削って調整したり、人工歯のすり減り具合を確認したりすることで、不具合を早期に発見できます。
違和感を感じてから受診するのでは遅い場合が多く、早めのメインテナンスが入れ歯の寿命を延ばす最大の秘訣です。

入れ歯専用の洗浄剤・ケースの活用

入れ歯は寝ている間、必ず外すことが基本です。入れ歯を24時間装着し続けると、歯ぐきが休まる時間がなくなり、炎症や歯ぐきの痩せを招く原因となります。
外した入れ歯は、乾燥させずに専用のケースに保管し、入れ歯洗浄剤に浸けておくことをおすすめします。
乾燥すると変形やひび割れが起こる恐れがあるため、水か洗浄液に浸す習慣を身につけましょう。

寿命を縮めるNG習慣(夜間のつけっぱなし など)

入れ歯のよくある習慣のひとつが、夜間も入れ歯をつけたまま寝てしまうことです。
これは歯ぐきへの圧迫が続き、血流が悪くなる原因となります。入れ歯をお風呂場で洗う・濡れた手で取り外すことも、落下による破損のリスクが高まりますので注意が必要です。これらの習慣を見直し、お口の中と入れ歯を労わる意識を持つことが、結果的に入れ歯の寿命を延ばすことにつながります。

4.入れ歯の寿命が近づいているサイン

4. 入れ歯の寿命が近づいているサイン
入れ歯は、見た目ではまだ使えそうでも、実は寿命が近づいていることがあります。長年お使いの方ほど、「まだ使えるから大丈夫」と思いがちですが、お口の中では確実に変化が起きています。
ここでは、入れ歯の寿命が近いサインを具体的にお伝えします。

痛み・違和感・外れやすさが増えた

これまで問題なく使えていた入れ歯が、最近、当たって痛い・外れやすい・ズレると感じることはありませんか?これは、歯ぐきが痩せたり、顎の骨の形が変化したりして、入れ歯が合わなくなってきた証拠です。
特に、食事中にカタカタ動く・会話中に浮いてくるようであれば、入れ歯の調整または作り直しの時期が近づいているサインと言えます。

噛みづらい・発音しづらい

以前は普通に食事ができていたのに、最近噛みづらくなった、食べこぼしが増えたという方も注意が必要です。人工歯のすり減りや入れ歯の変形により、噛み合わせが崩れてきている可能性があります。
また、「サ行やタ行の発音がしづらくなった」「口元がもごもごする」など、会話時の違和感も、入れ歯の調整が必要なサインの一つです。

人工歯のすり減り・変色・欠けが目立つ

入れ歯を長年使用すると、人工歯の表面がすり減ったり、変色したりします。すり減った人工歯は噛む力を十分に発揮できず、食事の満足度が下がる原因になります。
また、人工歯が欠けている・割れている場合は、見た目の問題だけでなく、噛み合わせや発音に影響を与えます。このような劣化が見られる場合、修理や作り直しを検討するタイミングです。

残っていた歯が抜けた

部分入れ歯をお使いの方は、支えとなっている歯が抜けてしまったときが、入れ歯の作り直し時期と言えます。残存歯がなくなると、入れ歯の設計そのものが崩れてしまい、支えを失った入れ歯は安定しません。
この場合、新しい設計で入れ歯を作り直すか、修理をする必要があり、これまでの入れ歯をそのまま使い続けることは難しくなります。

顎の骨が痩せて、入れ歯がズレるようになった

年齢とともに、顎の骨は少しずつ痩せていきます。
これにより、入れ歯がズレたり、浮いたりする感覚が出てくることがあります。特に総入れ歯の方は、顎の骨の痩せが進むと入れ歯が安定しにくくなり、食事や会話に支障をきたします。
このような症状を放置すると、口内炎や噛み合わせのズレ、顎関節症など、さらなるトラブルに発展しかねません。

5.入れ歯の寿命がきたときの選択肢

入れ歯は、見た目では問題がなさそうでも、一定期間使用すると必ず寿命が訪れます。
そのとき、どうすればよいのか、どんな選択肢があるのかを知っておくことで、迷わず対処できます。

修理と作り直し、どちらを選ぶべきか

入れ歯に欠けやひび割れがある程度であれば、修理で対応できる場合もあります。
たとえば、人工歯の一部が取れた・バネが折れた・真っ二つに割れたといったトラブルは、部分的な修理で済むことが多いです。
しかし、入れ歯全体がすり減っている・歯ぐきと合わなくなっている・残っていた歯が抜けたといった場合は、修理や作り直しが必要になるケースがあります。特に、顎の骨の形が変わっている場合は、修理を重ねても違和感が解消されず、かえってお口の健康を損ねる恐れがあります。

作り直しを検討すべきタイミング

入れ歯の作り直しを考えるべきタイミングは、大きく分けて以下の3つです。

1つ目は、入れ歯が痛い・外れやすい・噛みづらいなどの不具合が続くときです。
これは、入れ歯そのものが劣化しているか、お口の中の変化が進んでいるサインです。

2つ目は、残っていた歯が抜けてしまったときです。
部分入れ歯の場合、支えとなる歯が抜ければ、これまでの入れ歯は使えなくなります。

3つ目は、入れ歯の表面がすり減り、噛み合わせが崩れているときです。
この状態を放置すると、顎や歯ぐきに負担がかかり、食事や会話にも支障が出ます。

これらの症状が見られた場合は、早めに歯科医院で相談し、作り直しを検討することが大切です。

当院での対応と費用の目安

当院では、入れ歯の寿命が近づいている患者様に対し、まずは現在の入れ歯の状態をしっかり診査し、修理で対応できるか・作り直しが必要かを丁寧にご説明しています。
当医院では自費診療の入れ歯のみの取り扱いになりますがその分、材料や設計にこだわり、より自然な見た目と快適な使い心地を提供できます。
「作り直しは面倒」「費用が心配」と思われる方も多いですが、快適な毎日を取り戻すためには、早めのご相談が何より大切です。当院では、ご相談だけでも歓迎しておりますので、気になる症状がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

6.【注意】寿命を過ぎた入れ歯を使い続けるリスク

入れ歯は、壊れていなければ使い続けても大丈夫と思われがちですが、それは大きな誤解です。
寿命を過ぎた入れ歯を無理に使い続けることで、さまざまなトラブルが起こるリスクがあります。
ここでは、具体的な危険性を詳しくご説明します。

歯ぐき・骨へのダメージ

寿命を過ぎた入れ歯は、歯ぐきや顎の骨に必要以上の圧力をかけてしまうことがあります。
入れ歯が合わなくなると、特定の部分だけで噛む癖がつき、歯ぐきが痛んだり、骨が痩せたりします。
特に、夜間も入れ歯をつけたまま寝ている方は要注意です。
歯ぐきが休まる時間がなくなり、血流が悪化して炎症が起こりやすくなります。
こうした状態が続くと、口内炎や骨の吸収が進行し、さらに入れ歯が合わなくなる悪循環に陥ります。

噛み合わせの崩れによる全身への影響

入れ歯がすり減り、噛み合わせがずれると、食事中にしっかり噛めなくなるだけでなく、身体全体にも悪影響を及ぼします。噛み合わせの乱れは、顎の関節に負担をかけ、顎関節症や肩こり、頭痛の原因になることがあります。
また、噛む力が弱まることで、食事の満足感が下がり、栄養摂取が偏る恐れもあります。
特に高齢の方は、噛めないことがきっかけで食事量が減り、体力低下や誤嚥性肺炎のリスクが高まることも指摘されています。

食事や会話のストレスが積み重なる

寿命を過ぎた入れ歯は、ちょっとした会話でもズレたり、食事中に外れやすくなったりします。
これにより、無意識のうちに口元を気にしてしまい、人と話すことが億劫になる方も少なくありません。
また、好きなものを噛めない・食事中に痛みを感じるといったストレスが、毎日の生活の質を大きく下げる原因になります。入れ歯の不具合が続くことで、「外食に行かなくなった」「人と会う機会が減った」という方も多く見受けられます。

入れ歯は、単なる「もの」ではなく、生活そのものを支える大切な道具です。寿命を過ぎた入れ歯を無理に使い続けることで、お口だけでなく、心や身体の健康まで損なうリスクがあることを忘れないでください。

7.【Q&A】入れ歯の寿命についてよくあるご質問

ここでは、当院によく寄せられる「入れ歯の寿命」に関するご質問を、わかりやすくまとめました。
入れ歯をお使いの方、ご家族に入れ歯をお使いの方は、ぜひ参考にしてください。

10年以上使える入れ歯もある?

確かに、「10年以上同じ入れ歯を使っている」という方は珍しくありません。
正しいお手入れと定期的な調整を行えば、10年以上使える場合もありますが、多くの方は5〜7年程度で作り直しが必要になるのが実情です。
入れ歯本体が壊れていなくても、歯ぐきや顎の骨は年々変化します。
見た目は問題なくても、噛み合わせが崩れたり、歯ぐきに負担がかかったりしていることもあります。

定期的なメインテナンスはどれくらい必要?

入れ歯を長持ちさせるためには、3か月から半年に一度の定期点検をおすすめしています。
このタイミングで、歯ぐきの状態や入れ歯のすり減り具合、噛み合わせのチェックを行い、必要があれば調整や部分的な修理を行います。
特に、痛みや違和感を感じてから受診するのでは遅い場合が多いため、「異常がなくても定期的に診てもらう」ことが、入れ歯の寿命を延ばす最大のポイントです。

入れ歯が合わなくなった場合、すぐ作り直すべき?

入れ歯が外れやすい・痛みが出る・噛みづらいなどの症状が出た場合、まずは歯科医院で調整が可能かどうか確認しましょう。
簡単な調整で快適に使えるようになる場合もあります。
ただし、歯ぐきが大きく痩せていたり、残っていた歯が抜けていたりする場合は、作り直しが必要になります。我慢して使い続けると、さらに歯ぐきや骨を傷め、作り直しに時間と費用がかかるケースもあるため、早めの受診をおすすめします。

8.まとめ

入れ歯の寿命は、平均5〜7年が目安とされていますが、使い方やお口の環境によって大きく変わります。
寿命が近づくと、噛みにくさや痛みといったサインが現れます。
入れ歯を快適に、長く使うためには、日々のお手入れと定期的なメインテナンスが欠かせません。
お悩みの方は、ぜひ当院にご相談ください。

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修
所属:ハイライフグループ
略歴:

初診相談のご案内

ハイライフの入れ歯治療は、初診で約1時間の検査を行いお悩みの原因を把握してから治療に進みます。現在のお悩みやご要望、お身体の状態などをじっくりお伺いして、お口の状態や、事前に治療が必要になる箇所、お悩みの原因になっている部分などを診察します。
診察結果を元に、治療方法、期間、費用をご説明させていただき、患者さんに十分に検討頂いてご納得されてから治療の開始となります。

初診・検査料:5,000〜10,000円程度