2025.05.19

その入れ歯、もう限界かも?交換時期の目安

その入れ歯、もう限界かも?交換時期の目安

「最近、入れ歯がしっくりこない」「外れやすくなった気がする」
――そんな違和感を抱えながらも、交換のタイミングがわからず不安に感じていませんか?
実は、入れ歯には寿命があり、使い続けることでさまざまな問題が起こることもあります。

この記事では、入れ歯の交換時期の見極め方や、交換を怠った場合のリスクについて、歯科医の視点から詳しく解説します。快適な毎日を取り戻すための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

1.入れ歯の交換時期、なぜ重要?

「もう少し我慢」は危険?交換を怠るリスクとは

合わない入れ歯を我慢して使い続けると、歯ぐきやあごの骨に不自然な力が加わり、炎症や痛みが出る原因になったります。
特に、かむ力が片側にかたよると、骨の吸収が進行し、入れ歯がますます不安定になります。
入れ歯がわずかにずれるだけでも、頬の内側や舌に繰り返し傷ができることがあります。
そうした刺激は口内炎の原因になるだけでなく、慢性的な炎症が続くと口腔内の変化を招くこともあり、注意が必要です。

また、うまく噛めない状態で食事を続けると、消化器官に負担がかかり、胃もたれや栄養不足の一因になります。食事が億劫になると食欲が落ち、体力の低下にもつながりかねません。
話すときに入れ歯が動いたり、発音が不明瞭になることで、人前で話すことが苦痛になり、外出や会話を避けるようになる方もいます。こうした生活の変化は、知らず知らずのうちに心の健康にも影響を与える可能性があります。
表面的には大きな不具合がないように感じても、体は小さな変化に反応しています。我慢して使い続けることで、後々の治療が複雑化したり、より大きな費用や時間がかかる場合もあります。

入れ歯は一生モノではない:平均的な交換サイクル

入れ歯の寿命は、使用状況やお口の状態によって異なりますが、一般的には3年から5年が交換の目安とされています。これは、見た目の変化だけでなく、口の中の環境が日々変化していくからです。
加齢によって歯ぐきがやせたり、かみ合わせが変わったりすると、最初はぴったり合っていた入れ歯も、次第にずれやすくなっていきます。また、毎日の使用によって入れ歯の裏側は摩耗し、かみ合わせの高さも少しずつ狂ってきます。

さらに、入れ歯の表面にできた細かい傷や変色は、見た目の問題だけでなく、細菌が増えやすくなる温床にもなります。
特に衛生面が気になる方にとっては、表面の汚れやにおいが気になる時点で交換の検討が必要です。保険診療の入れ歯は素材の耐久性に限界があるため、特に定期的な見直しが求められます。
一方で、自費診療で作る入れ歯でも、形や材料の変化は避けられません。高価な入れ歯であっても「一度作れば一生大丈夫」ということはないのです。
入れ歯の寿命を正しく理解し、計画的に交換を行うことが、長期的に快適な生活を保つ秘訣です。定期的な検診のなかで、歯科医と相談しながら交換時期を判断するのが最も安心です。

2.入れ歯の寿命を左右する要因とは?

2. 入れ歯の寿命を左右する要因とは?
入れ歯は使用年数だけでなく、使い方や口の中の環境、選ばれた素材によって寿命が大きく左右されます。長く快適に使い続けるには、どのような要因が寿命に影響するのかを正しく知っておくことが大切です。

材質による違い(レジン・金属・シリコーンなど)

入れ歯の材質にはいくつかの種類があり、それぞれ耐久性や使い心地が異なります。
保険診療で使われることが多い「レジン」は比較的軽く、修理しやすい利点がありますが、変形やすり減りが起こりやすいため、3〜5年程度で交換が必要になることが多いです。
一方、「金属床義歯」は強度が高く、たわみにくいため長期間安定して使える傾向にあります。
ただし、使い方や口腔内の変化によっては、金属部分が合わなくなることもあり、やはり定期的な調整は欠かせません。また、シリコーン素材のように弾力性がある特殊な入れ歯も存在しますが、素材の性質に合った交換時期を守ることが必要です。

使用状況とメンテナンスの影響

入れ歯の寿命は、日々の使い方にも大きく左右されます。
たとえば、食事中に強くかむ癖がある方や、片側ばかりで噛む習慣がある方は、入れ歯にかかる力が偏り、変形や破損を早める原因になります。
また、入れ歯を外したあとに乾燥した状態で放置したり、水以外の液体で保存したりすると、素材が劣化することがあります。
入れ歯は水中で保管し、専用の洗浄剤を使って丁寧に手入れをすることで、寿命を延ばすことが可能です。
歯ぐきの状態もメンテナンスに関係しています。合わない入れ歯を無理に使い続けると、歯ぐきに傷がついたり、炎症が起こったりし、それに合わせて入れ歯が歪んでしまうこともあります。

3.こんな症状が出たら交換のサインかも

3. こんな症状が出たら交換のサインかも
入れ歯は見た目に異常がなくても、実際にはトラブルの兆候が出ていることがあります。
以下のような症状に心当たりがある場合は、入れ歯の交換や再製作を検討すべきタイミングかもしれません。

噛みにくい、外れやすいと感じるようになった

入れ歯が外れやすくなったり、しっかり噛めないと感じるようになったら、入れ歯が合わなくなっているサインです。わずかなズレでも、食事中に動いたり、噛む力が偏ったりすると、顎の骨や歯ぐきに大きな負担がかかります。
また、入れ歯が動いてしまうことで、食事中に違和感を覚えたり、噛みしめたときにずれるといった不快な経験をされる方も多いです。
このような状態では食事を楽しめず、栄養摂取や生活の質の低下にもつながります。
入れ歯がずれることに慣れてしまい、無意識に噛み方を変えてしまう方もいますが、こうした癖はかえって咬み合わせを悪くし、症状を悪化させてしまうことがあります。

口内炎や痛みが繰り返し起こる

同じ場所に何度も口内炎ができる場合や、歯ぐきが赤く腫れて痛むといった症状は、入れ歯の縁が当たっていたり、形が合わなくなっている可能性があります。
これらは、歯科医院での検診が必要な状態の代表的なサインです。

痛みがある部分をかばって噛む癖がつくと、他の場所にも負担がかかり、さらに複数のトラブルを引き起こすことになります。一時的な傷であっても、繰り返す場合には必ず歯科で相談しましょう。
また、炎症が続くと、粘膜が厚く変化してしまい、入れ歯がさらに合いにくくなる悪循環に陥ることもあります。この段階では単なる調整では対処できず、再製作が必要になることが多いです。

話しにくい・においが気になる・見た目に違和感

言葉がはっきり発音できなくなったり、人と話すときに入れ歯が気になって口元を押さえてしまうようになった場合も、交換のサインかもしれません。
入れ歯が微妙にずれていることで、舌の動きや発音に影響を与えているケースがよくあります。
また、においが気になり出した場合には、入れ歯表面の細かい傷に細菌が入り込み、洗浄では落としきれない汚れがたまっていることが考えられます。これは入れ歯の劣化が進んでいる証拠であり、交換を前向きに考えるべき時期です。
さらに、入れ歯の変色や変形が目立つようになると、見た目の印象にも影響が出ます。自然な表情が損なわれることで、会話や外出への意欲が低下する方も多くいらっしゃいます。

4.よくある誤解と後悔しないためのポイント

入れ歯の不調を感じながらも、誤った情報や思い込みによって交換や相談の機会を逃してしまう方は少なくありません。ここでは、よくある勘違いや後悔しやすいポイントについて、歯科医の立場から正しくお伝えします。

「痛くなければそのままでいい」は本当?

「今は痛くないから」「まだ使えるから」と思っている方も多いのですが、それだけでは交換の判断はできません。痛みがなくても、かみ合わせが少しずつズレていたりすることがよくあります。
このようなズレは、体に無意識の負担をかけ、あごの関節や肩・首のこり、さらには頭痛の原因になることもあります。
見た目や感覚ではわからない変化もあるため、定期的な検診を受けることでトラブルを未然に防ぐことが可能です。

無理な調整を続けると逆効果になることも

一部の方は、入れ歯に不具合を感じた際に「削って調整すれば済む」と考え、何度も調整を重ねて使用し続けようとします。しかし、調整ではうまく口に合わず作り直しが必要になることもあります。
また、歯ぐきの形や骨の状態が変わっている場合や、新たに歯が抜けた場合などには、いくら調整しても根本的な解決にはつながりません。何度も調整を繰り返すより、一から作り直した方が快適に使えるようになるケースも多くあります。
調整の限界を見極めることも、歯科医としての大切な役割です。自己判断せず、必ず専門家に相談しましょう。

自費の入れ歯は高いだけ?その価値と耐久性

「自費診療の入れ歯は高額なだけ」と思っている方もいらっしゃいますが、それは誤解です。
自費の入れ歯は、使用者一人ひとりの口腔内に合わせて細部まで調整され、素材や作りも高精度です。

たとえば、金属床の入れ歯は強度が高く、薄くてもたわみにくいため、違和感が少なくなり、長期間安定して使えるメリットがあります。
また、シリコーンなどの特殊素材を使えば、歯ぐきへの負担を減らし、痛みの出にくい構造に仕上げることも可能です。
もちろん費用はかかりますが、頻繁に修理や調整が必要な保険の入れ歯と比べ、長期的に見るとコストパフォーマンスが良い場合もあります。「どれを選ぶか」ではなく、「どう生活を快適に保ちたいか」が選択の基準となるのです。

5.入れ歯交換にベストなタイミングとは?

5. 入れ歯交換にベストなタイミングとは?
入れ歯の交換は、単に「壊れたら取り替える」ものではありません。
お口の変化や日常の違和感を見逃さず、最適なタイミングで交換することが、長く健康に過ごす秘訣です。

一般的な目安と検診時のチェック項目

入れ歯の寿命は一般的に3〜5年とされていますが、それはあくまでも目安です。
年齢や体質によってお口の環境は大きく変わるため、定期的な歯科検診による状態確認が欠かせません。
検診では、咬み合わせの高さや入れ歯のぐらつき、歯ぐきの状態、内面のすり減り具合などを総合的に判断します。問題が出る前に兆候を把握できれば、入れ歯の再製作をスムーズに進めることが可能です。
「まだ使える」は主観的な判断です。客観的な状態を知るためにも、半年〜1年に一度は点検を受けましょう。

修理・調整で済むケース/交換が必要なケースの違い

入れ歯がわずかに当たる・擦れるといった場合は、削る・盛るといった調整で対応できることもあります。
また、小さなひび割れや欠けであれば、修理によって延命できるケースもあります。
しかし、入れ歯の底面が大きくすり減っていたり、素材自体が劣化していたりする場合は、修理では根本解決になりません。
また、あごの骨や歯ぐきの形が変わってしまった場合、調整では対応しきれず、作り直しが必要になります。判断が難しい場合は、信頼できる歯科医に状態を診てもらい、「まだ調整で使えるのか」「交換すべきか」のアドバイスを受けることが重要です。

医師と相談して決める“納得のタイミング”とは

入れ歯の交換は、日常生活の満足度に直結する大きな決断です。
「見た目を改善したい」「もっとしっかり噛みたい」「違和感をなくしたい」など、
目的を明確にすることが納得の交換につながります。
歯科医は、現在の入れ歯の状態だけでなく、患者さまの生活スタイルや優先したいことを丁寧に伺った上で、最適な選択肢を提案します。
特に、過去に合わない入れ歯で苦労された方には、素材や構造を見直すことで、満足度の高い再製作が可能です。
無理に交換を急ぐ必要はありませんが、不安を感じたときこそが相談のタイミングです。
納得して新しい入れ歯を作ることで、これまでとは違う快適な毎日が手に入るかもしれません。

6.まとめ

入れ歯の交換時期は、目に見えるトラブルだけでなく、お口の中の微妙な変化にも左右されます。
「まだ使えるから」と思っていても、実際には交換が必要なサインが出ていることも少なくありません。
当院では、入れ歯でお困りの方に対し、丁寧な検査とカウンセリングを行い、最適なご提案をさせていただきます。違和感や不安を我慢せず、まずはお気軽にご相談ください。あなたに合った、快適で安心な入れ歯づくりをお手伝いします。

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修
所属:ハイライフグループ
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初診相談のご案内

ハイライフの入れ歯治療は、初診で約1時間の検査を行いお悩みの原因を把握してから治療に進みます。現在のお悩みやご要望、お身体の状態などをじっくりお伺いして、お口の状態や、事前に治療が必要になる箇所、お悩みの原因になっている部分などを診察します。
診察結果を元に、治療方法、期間、費用をご説明させていただき、患者さんに十分に検討頂いてご納得されてから治療の開始となります。

初診・検査料:5,000〜10,000円程度