2025.06.12

入れ歯で食事がしづらい原因と対策|噛めない・痛いを解決するには?

入れ歯で食事がしづらい原因と対策|噛めない・痛いを解決するには?

入れ歯を使い始めてから、「うまく噛めない」「食事が楽しくない」と感じたことはありませんか?実はその不便さ、多くの方が経験しているものです。
この記事では、入れ歯で食事がしづらくなる原因やそのまま放置したときのリスク、そして快適に食事を楽しむための具体的な方法を、専門的な視点からわかりやすく解説します。

1. 入れ歯で食事がしづらいと感じるのはなぜ?

入れ歯を装着していて、「うまく噛めない」「入れ歯が外れそうになる」「噛むと痛い」といったお悩みは多くの方に共通しています。
これは単なる慣れの問題ではなく、入れ歯の構造やお口の変化に深く関係しています。
ここでは、入れ歯と食事に関するよくあるトラブルと、その根本的な原因を詳しく解説します。

「噛みにくい」「外れる」「痛い」…よくある入れ歯の食事トラブル

Q:どんな場面で「入れ歯が使いにくい」と感じますか?
多くの方がまず感じるのは、「固いものが噛みづらい」という違和感です。
せんべいや肉など、ある程度の力が必要な食べ物を噛もうとすると、入れ歯がずれる、外れそうになる、痛みが走るといった声がよく聞かれます。
また、「食べ物が内側に入り込む」「噛んでもすり潰せない」といった問題も頻繁に起こります。特に下の入れ歯が動いてしまうことに悩む方は多く、噛む力が左右均等に伝わらないことも原因となります。
このようなトラブルは、入れ歯の密着性や噛み合わせのズレ、設計などが複雑に絡み合って起きているのです。

食事がしづらくなる原因とは?噛み合わせ・吸着・設計の問題

Q:なぜ入れ歯を入れても「噛めない」「痛い」と感じるのでしょう?
原因の一つは噛み合わせのずれです。入れ歯の上下の歯がきちんと合っていないと、噛む力が一点に集中し、痛みが出やすくなります
また、入れ歯と歯ぐきの吸着力(密着性)が弱くなると、入れ歯が動いたり浮いたりしてしまい、安定して食事ができません
これは、顎の骨や歯ぐきの形が少しずつ変わっていく中で、以前合っていた入れ歯が合わなくなっていく現象によるものです。
さらに、入れ歯の設計自体が食事向きでない場合もあります。
たとえば、歯の配置が自然の噛み方と異なっていたり、人工歯の素材がすり減っていたりすると、食材をしっかり噛み切れないことがあります。
このように、「噛めない入れ歯」には、見た目にはわからない設計上の課題が潜んでいることが多くあります。

入れ歯を長く使うことで起こる、見えにくい劣化や変化とは?

Q:長年同じ入れ歯を使い続けると、何が起こるのでしょうか?
入れ歯は毎日使う道具ですから、徐々に人工歯がすり減ったり、床(ピンク色の部分)が変形したりしていきます
また、口の中の粘膜や顎の骨は、年齢とともに少しずつ変化します。その結果、以前はしっかり合っていた入れ歯が、少しずつ浮いてきたり、ズレたりするようになります
見た目には大きく変わっていないように見えても、入れ歯の裏側やかみ合わせの高さが微妙にずれていることが原因で、噛みにくさや痛みが出てくるのです。
さらに、長期間修理や調整を行わずに使い続けると、噛み合わせ全体が崩れ、顎関節や全身の姿勢に影響を及ぼすこともあります。「まだ使えるから大丈夫」と思っていても、目に見えない変化が着実に積み重なっているのです。

2.噛めない・痛い入れ歯のまま使い続けるとどうなる?

「多少合っていなくても、入れ歯があればなんとか食べられる」と我慢して使い続けている方は少なくありません。
しかし、噛めない・痛い入れ歯をそのままにしておくことで、体や心にさまざまな悪影響が出る可能性があります。ここでは、放置した場合に起こりうる代表的なリスクについて解説します。

咀嚼力の低下が身体に与える影響(栄養不足・嚥下障害など)

Q:入れ歯で噛めないと、体にどんな影響がありますか?
噛む力が弱くなると、食事の内容に制限が生まれ、柔らかいものや喉ごしの良い食べ物ばかり選ぶようになります
その結果、野菜・肉・魚といった栄養源の摂取量が減り、栄養バランスが崩れてしまうのです。特に高齢期は、筋力や免疫力の維持にたんぱく質やミネラルが必要ですが、噛めないことで必要な栄養素が不足し、フレイル(虚弱)や低栄養のリスクが高まります
また、しっかり噛めていないと飲み込みもうまくいかず、誤嚥(ごえん)の原因になることもあります。食べ物が気管に入ると、誤嚥性肺炎などの重大な健康問題につながる可能性もあるため注意が必要です。

痛みをかばうことで起こる顎や粘膜のトラブル

Q:入れ歯が当たって痛い場合、どうやって食べていますか?
多くの方は、痛みを避けて反対側だけで噛んだり、噛む力を弱めたりするようになります。
しかしその結果、片側だけに負担が集中して、歯ぐきや顎の骨が炎症を起こすことがあります。
さらに、入れ歯が合っていない状態で繰り返し使うと、粘膜がこすれて口内炎ができやすくなるほか、長期的には顎の筋肉や関節にも負担がかかり、「顎関節症」の症状(口が開きにくい・音が鳴るなど)を引き起こすこともあります
痛みがあるまま使い続けるのは、結果的により大きな不調を引き起こすリスクを高めてしまうのです。

「食べる楽しみ」を失うことの心理的ダメージ

Q:食事が苦痛になると、どんな影響がありますか?
「入れ歯がずれて恥ずかしい」「痛くて人前で食べたくない」と感じると、外食や人との食事を避けるようになります。そうすると、人との会話の機会や、社会とのつながりが減少し、孤立感や気分の落ち込みに繋がることもあります。
また、「もう何を食べても美味しく感じない」「噛むことを楽しめない」といった感覚は、生活の満足度を著しく低下させる要因となります。
入れ歯の不調は、単なる「口の問題」にとどまらず、心の健康や生きがいにも大きな影響を与えるのです。

3.入れ歯でも食事を楽しむためにできること

3. 入れ歯でも食事を楽しむためにできること
入れ歯を使っていると、「昔のように美味しく食べられない」と感じることがあります。
けれども、ちょっとした工夫や適切なケア、歯科医のサポートを受けることで、また安心して食事ができるようになることも少なくありません。ここでは、日常でできる対策と専門的な解決法をご紹介します。

噛みやすい食材・避けたい食材の選び方

入れ歯をつけたままでも食べやすい食材を選ぶことは、日々のストレスを減らす第一歩です。たとえば、煮物や蒸し料理などは、食材が柔らかくなり、噛む力が分散しやすくなるためおすすめです。
根菜でも、しっかり火を通すことで、歯ぐきに負担をかけずに食べることができます。

反対に、硬くて弾力のあるものや粘り気が強い食べ物は注意が必要です。
たとえばお餅、ナッツ、フランスパンなどは、入れ歯が浮いたりズレたりする原因になることがあります。
また、食材を一口大に切ってから食べたり、左右均等に噛むことを意識するだけでも、入れ歯への負担を軽減できます。

入れ歯の安定感を高めるための日常のケア方法

入れ歯の調子を保つには、日々の扱い方がとても大切です。
まず、毎日欠かさず洗浄し、目に見えない汚れや菌を取り除くことが基本です。
特に寝る前の洗浄と保湿は、入れ歯の変形やにおいを防ぎ、装着時の違和感を減らします。

また、口の中の清潔さを保つことも重要です。
粘膜や歯ぐきをマッサージすることで血流がよくなり、入れ歯が当たる部分の傷みを予防することにつながります。さらに、安定剤に頼りすぎないことも大切です。
頻繁に使わないと落ち着かない場合は、入れ歯が合っていないサインの可能性もあります。

専門医による調整や再設計で「噛める」を取り戻す

どうしても不安定さが続く場合は、自分で何とかしようとせず、歯科医院での調整を検討しましょう。合っていない入れ歯を無理に使い続けても、根本的な解決にはつながりません。
補綴を専門とする歯科医であれば、入れ歯の裏打ち(リライニング)や噛み合わせの調整など、的確な処置が可能です。
また、入れ歯自体が古くなっている場合は、今の口の状態に合わせて一から作り直すことで、噛みやすさが格段に変わることもあります。
近年では、より吸着性や安定性を高めた精密な義歯も選べるようになっており、「もう我慢しなくていい」状態を取り戻す患者さんも少なくありません。
「年齢のせいだから」「どこに行っても同じ」とあきらめずに、専門的なサポートを受けることで、食事の楽しさは十分に取り戻せます。

4.こんな症状があれば、歯科医院で相談すべきサイン

4. こんな症状があれば、歯科医院で相談すべきサイン
入れ歯に少し違和感を覚えても、「まだ使えるから大丈夫」と思ってそのままにしていませんか?でも実は、何気ない違和感こそが、修理や再調整のサインになっていることが少なくありません。ここでは、歯科医院に相談した方が良い具体的な症状や、その理由をお伝えします。

入れ歯がズレる・落ちる・浮いてくる

外れやすい、ズレてくる入れ歯は、「合っていない」状態の代表例です。
特に食事中や会話中に「カチッ」と音がする、口を開けると落ちそうになる、などの症状がある場合は注意が必要です。
こうした状態は、入れ歯の吸着力が弱まっているサインであり、歯ぐきの形や顎の骨の変化が影響していることもあります。
合っていない入れ歯をそのまま使い続けると、粘膜が傷ついたり、食べ物が中に入り込んで炎症を起こしたりすることがあります。ズレが続く場合は、調整・裏打ち・作り直しなどの対応が必要になる可能性があるため、早めに相談するのが賢明です。

食事中に痛みがある/噛む位置がずれる

噛んだときに痛みを感じたり、上下の歯が正しく噛み合わなくなってきた場合も、入れ歯の不調が考えられます。噛むたびに特定の箇所が痛む場合は、内面のバランスが崩れ、一部に強く力が加わっている状態かもしれません。
また、以前と比べて「噛み合わせが変わった」と感じる場合、入れ歯が摩耗して高さが変わっていることもあります。
これを放置すると、噛む筋肉や顎関節に負担がかかり、口の開けづらさや疲れ、頭痛などへ発展する可能性もあります。痛みや噛みづらさを感じたら、我慢せずに歯科医院へ相談するのが安心です。

入れ歯安定剤が手放せなくなってきた

入れ歯安定剤は一時的な補助としては便利ですが、「手放せない状態」になっている場合は要注意です。
本来、きちんと合った入れ歯であれば、安定剤がなくても日常生活が送れることが理想です。
頻繁に使わないと食事や会話が難しい状態になっているなら、入れ歯自体が合っていないか、歯ぐきが変化している可能性があります。
また、安定剤を長期間使い続けると、入れ歯の裏側に成分が残り、細菌が繁殖しやすくなることもあるため衛生面でも注意が必要です。頼りすぎる前に、一度歯科で状態を見てもらうことをおすすめします。

5.まとめ

入れ歯での食事に悩む方は、ほんの少しの調整や工夫で、噛みやすさや安心感を取り戻すことができます。
ズレや痛み、噛みにくさは「合っていないサイン」の可能性もあるため、我慢せず早めに専門医に相談することが大切です。
食べることを諦めず、自分に合った入れ歯で、再び毎日の食事を楽しみましょう。

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修
所属:ハイライフグループ
略歴:

初診相談のご案内

ハイライフの入れ歯治療は、初診で約1時間の検査を行いお悩みの原因を把握してから治療に進みます。現在のお悩みやご要望、お身体の状態などをじっくりお伺いして、お口の状態や、事前に治療が必要になる箇所、お悩みの原因になっている部分などを診察します。
診察結果を元に、治療方法、期間、費用をご説明させていただき、患者さんに十分に検討頂いてご納得されてから治療の開始となります。

初診・検査料:5,000〜10,000円程度