2022.12.09

永久歯の歯の寿命を延ばす4つの秘訣

永久歯の歯の寿命を延ばす4つの秘訣

永久歯は、上顎と下顎で前歯が6本ずつ、奥歯が親知らずを含めれば10本、含めなければ8本ずつの合計、32本ないし28本あります。
乳歯の場合は永久歯が後から生えてくるのですが、永久歯を失ってもその後に生えてくる歯はありません。
ですので、永久歯がどれだけ長持ち出来るかは、食事を始めとする日々の生活に大きく影響してきます。
今回は国で調査している統計を元に、永久歯の寿命や延ばす為にできることについて詳しく解説します。

1.歯科関係の統計調査について

1-1.歯科疾患実態調査

歯科疾患実態調査は、厚生労働省が行なっている調査のひとつです。この調査の目的は、日本国内における歯の状態の確認にあります。
検査項目は、虫歯の有無と治療状況、歯茎の状況、歯並びや噛み合せの状況、フッ素の塗布率、歯ブラシの使用状況、顎関節の状況、インプラントの状況などです。つまり、歯やお口に関係することを広範囲に調べています。
この調査は6年おきに実施され、その結果を元に歯科医療が進められます。
最新の調査は平成23年に行なわれた調査になります。歯がどれだけ残っているかをみるのに、「20本以上歯があるかどうか」という指標があります。20本以上歯が残っている人の割合は、年々増加傾向にあります。すなわち、歯の寿命は順調に伸びているといえます。

1-2.永久歯の抜歯原因調査報告書

財団法人8020推進財団が、全国の歯科医院から集めたデータを解析して、永久歯の抜歯にいたった原因を調べたものです。
日本歯科医師会に登録してある歯科医院から1割を抽出して調査しています。有効回収率は約40%です。
抜歯の原因、年齢、現在残されている歯の数との関連性などを解析しています。

2.永久歯の平均寿命

2-1.永久歯の喪失について

失った歯のことを喪失歯(そうしつし)といいます。
1本でも喪失歯を持っている人の割合は、5〜9歳で0.9%、45〜49歳で44.3%、50〜44歳で58.8%、85歳以上になると100%になります。
つまり、永久歯が生えて間もないうちに、1000人に1人は歯を失っており、およそ50歳前後には、ほぼ半数に抜歯の経験がうまれていることになります。
また、20本以上歯を持っている人の割合については、70〜74歳で52.3%、75〜79歳で47.6%ですので、75歳頃までは人口の半数において20本以上保っていることがわかります。そして、80〜84歳になると28.9%、85歳以上では17.0%と急に悪くなります。

2-2.歯の寿命は?

歯の寿命
歯は、1本だけあっても十分に機能させることは出来ません。2本でもしかりです。通常の食生活をおくる上では最低で20本、もちろんそれ以上あることが望ましいとされます。
20本以上歯を持っている人の割合は、70代の前半と後半で半数を境していますので、現在の日本人の歯の喪失年齢は、70代半ばといっていいと思われます。
生え始めてくる年齢を10代と考えると、十分機能出来るという視点で見れば、60年くらいが歯の寿命といえそうです。

3.歯を失う主な原因について

歯を失う主な原因
こちらは、8020推進財団が統計を参考にすることが出来ます。
抜歯の主な原因は、歯周病が最多で約40%、次いで多いのが虫歯で約30%となっております。3番目は破折で約10%です。つまり、歯周病と虫歯で70%ほどの割合になるわけです。
原因と年齢を組み合わせた分析もあります。
抜歯の原因が虫歯である場合の割合は、30代まででみれば最も多く、年齢とともに増えていきますが、この年齢以降はほぼ横ばいになり、70代以降では減少傾向になります。
一方、歯周病によって抜歯に至った割合は、40代以降で急激に割合が高くなっていき、この40代後半以降は、抜歯原因の第一位を保ち続けます。
ここからわかることは、若い頃は虫歯で歯を失うことが多いが、40代を境に歯周病が原因となる抜歯が増加し、逆転しているということです。
また、破折による抜歯の割合は、年齢とともに増えていきますが、40代以降はほぼ横ばいとなります。なお、10代で最も多いのは、上記のどれでもなく矯正歯科治療で抜歯です。男女比では、男性のほうが歯周病で抜歯になる割合が高くなる傾向がありますが、その他は男女差はほぼありません。

4.歯の寿命を延ばす4つの秘訣

抜歯の主な原因である虫歯と歯周病の対策をしっかり行なうことが、秘訣といえます。

4-1.虫歯対策

虫歯の進行イメージ
虫歯の原因は、いわゆる虫歯菌にあります。
虫歯菌が産生する乳酸が歯を溶かすことで、虫歯が起こります。虫歯菌を取り除くために大切なことがプラークコントロールです。プラークとは、歯の表面についている白いカスの様なもののことで、つめや爪楊枝等で歯の表面をこすると容易にとれてきます。この正体は、細菌の塊です。この細菌のなかに虫歯菌も含まれているのです。
虫歯対策におけるプラークコントロールとは、プラーク(細菌)をコントロール(制御する=減らす)ことで、虫歯の予防を図ることにあります。
歯みがきを食事の度に、しっかりとかつ、ていねいに行なうことで、プラークコントロールを図ります。このとき、歯と歯の間まで磨くために、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロスを使うことが大切です。
そして、定期的に歯科医院を受診し、磨き残しているところ等をきれいにしてもらうようにしましょう。
そして、フッ素も使う様にしましょう。フッ素で歯を強くすることで、虫歯菌の産生する乳酸から歯を保護することが出来ます。そこで、フッ素の配合された歯磨き粉で歯を磨き、フッ素の含まれたうがい薬でうがいをすることなどをお勧めします。

・虫歯予防については、以下の記事で詳しく説明しています。
【医師監修】必読!50代からの虫歯予防完全ガイド

4-2.歯周病対策

歯周病の説明図
歯周病とは、歯を支える組織(=歯周組織)に起こる病気のことです。歯周組織には歯肉、いわゆる歯茎や歯槽骨という歯を支えている骨などが含まれます。
歯周病は、まずは歯茎の炎症として始まります。これが歯肉炎です。この段階で適切に治療がなされればいいのですが、更に進行していきますと歯槽骨にまで炎症が及びます。この段階を歯周炎といい、歯周炎を起こすと歯槽骨が吸収されて減っていくようになります。そして、歯がグラグラと動くようになります。
歯周病の原因は、歯周病菌にあります。歯周病菌を減らすことが、歯周病対策の基本となります。
その方法は、虫歯対策と同じくプラークコントロールです。
つまり、適切なプラークコントロールは、虫歯対策にも歯周病対策にもなり得ます。
歯を守るためにもしっかり行ないましょう。

・歯周病予防については、以下の記事で詳しく説明しています。
【医師監修】必読!50代からの歯周病予防完全ガイド

4-3.破折対策

歯根破折
歯がかけたり、割れたりすることを、歯の破折といいます。破折の原因は、いろいろあります。虫歯の場合もあればケガの場合もあります。
虫歯による破折を防ぐには、虫歯治療と治療完了後の虫歯対策を行なっておくことが一番です。
ケガによって破折が起こる場合、転倒によって歯が割れてしまうことが最も多いです。ついで、交通事故やスポーツ、けんかなどが続きます。
転倒を未然に防ぐことは難しいですが、乗車中の交通事故によるものはシートベルトをきちんと締めることで、リスクを減らすことが可能です。
また、スポーツによる破折の予防は、スポーツ用マウスピースを使うことが効果的です。スポーツによる破折というと、格闘技のイメージがありますが、野球等それ以外のスポーツでも起こりえます。マウスピースをつけると、歯にかかるダメージから歯を守る効果があります。

・破折対策については、以下の記事で詳しく説明しています。
医師監修|歯が欠けた状態別の治療法と放置する危険性

4-4.生活習慣の見直し

4-4-1.喫煙

たばこの写真
タバコは、毛細血管を過剰に収縮させて血行を悪くします。そして、歯周病でダメージを受けた歯茎の治りを邪魔してしまいます。ですので、喫煙の習慣がある場合は、禁煙を試みることをお勧めします。

4-4-2.食生活

食生活に偏りがあることも、よくありません。特に甘いものを食べ過ぎると、虫歯のリスクが高まってきます。それだけでなく糖尿病のリスクもあります。食生活に偏りがある場合は、まんべんなくよく噛んで食べる様にしましょう。

5.歯の寿命を延ばすおすすめグッズ

むしば予防グッズ

5-1.歯ブラシ

歯ブラシは、プラークコントロールの基本です。
いろいろな形の歯ブラシがたくさん製品化されています。太さも硬いものもあれば柔らかめのものもあります。毛先の大きさも、小指の先程度のものから鉛筆の先くらいのものまであります。
どのタイプの歯ブラシが適しているのかは、歯科医院で説明してもらえますので、相談されることをお勧めします。

・正しい歯磨きと歯ブラシの選び方については、以下の記事で詳しく説明しています。
保存版|歯周病を予防する正しい歯磨きと歯ブラシの選び方

5-2.電動歯ブラシ

電動歯ブラシには現在3種類あります。高速運動電動歯ブラシ・音波歯ブラシ・超音波歯ブラシです。
これらのうち、普及しているのは高速運動電動歯ブラシ、音波歯ブラシになります。
電動歯ブラシは、高齢者や身体障害者、介護を受けている人など、手用歯ブラシを上手に使えない人にはとても便利なものですが、そうでない人にとっても使いやすいのでお勧めです。
特に歯ブラシを上手に当てることが出来ない、強く当てすぎる、歯みがきに時間がかけられない様な人は、手用歯ブラシよりも電動歯ブラシのほうがいいでしょう。

・電動歯ブラシについては、以下の記事で詳しく説明しています。
【医師監修】電動歯ブラシを超音波歯ブラシまで比較!選び方と使い方

5-3.デンタルフロス

デンタルフロスとは、糸ようじのことです。
歯と歯の間の掃除に使います。後述する歯間ブラシよりも細いので、隙間が少ない時におすすめです。
デンタルフロスには、柄付きのものと糸のみのものとがあります。柄付きのものには、Y型やI型などいろいろな形があります。コストの面で考えると、糸のみのものの方が有利です。
一方、使い勝手の面で考えると、柄がついているものの方が便利です。どちらでもいいのですが、慣れていないなら柄付きのものを、慣れてきたら糸のみのものを使う様にしてはいかがでしょうか。

5-4.歯間ブラシ

歯間ブラシは、文字通り”歯”の”間”を磨くための歯ブラシです。
ブラシの太さで、SSSからLまでおおむねサイズは3〜4種類、各社が製品化しています。
最も細いタイプでもデンタルフロスよりも直径があるので、歯と歯の隙間が広がっている人にお勧めです。サイズの合わない歯間ブラシを使うと、かえって歯茎が下がったりすることがあるので、サイジングは大切です。どのサイズがいいかは、歯科医院で相談してもらえれば教えてもらえます。

・歯間ブラシについては、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|おすすめの歯間ブラシと正しい使い方で防ぐ3つの病気

5-5.フッ化物洗口液

歯みがきをしっかりすることは大切ですが、虫歯予防にはフッ素を使うことも同じくらいに大切です。
最近は歯磨き粉にフッ素の含まれたものも製品化されていますが、フッ化物洗口液(うがい薬)のほうが、濃度が高く、うがいによりお口全体に簡単に広がっていくので、より効果的です。
自分で溶かす粉タイプと、溶かす手間の入らない液体タイプなど、いろいろな製品があります。
使い方は歯みがきの後、30秒ほどうがいをし、その後は30分ほど食べたりしないというタイプが多いです。

5-6.デンタルリンス

デンタルリンスは、薬効成分の含まれたうがい薬です。
虫歯の予防、歯周病菌の殺菌作用や歯茎の炎症緩和など、いろいろな薬効成分があります。製品によって、使うタイミングが歯みがき前か、もしくは歯みがき後か違ってきますが、歯みがきの際に使ってみてはいかがでしょうか。
もし、刺激が強い場合は、アルコールが含まれていないタイプがおすすめです。
なお、デンタルリンスとフッ化物洗口液は別物ですので、注意してください。

5-7.歯磨き粉

歯磨き粉を選ぶ際には、虫歯予防効果や歯周病予防効果のある薬効成分が含まれた歯みがき粉を選ぶといいでしょう。その際、泡立ちの少ない低発泡性のものをお勧めします。泡立ちのいい歯磨き粉ですと、泡の作用で爽快感を感じることで、磨き残していても磨けな気になることがあるからです。

・歯磨き粉については、以下の記事で詳しく説明しています。
歯周病に効き目あり!歯磨き粉14選!

まとめ

永久歯は乳歯と異なり一度抜けてしまうと、もう二度と生え変わることはありません。
永久歯が抜歯に至る原因については、虫歯と歯周病が大半を占めています。永久歯の寿命を延ばすためには、虫歯と歯周病の対策を行なうことが鍵となります。
日々の歯みがきをていねいにしっかりと行なうことと同時に、定期的に歯科医院を受診したり、生活習慣の見直しを行い、歯の寿命を更に延ばしていく様にしましょう。

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【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

【監修・執筆】ハイライフ編集部監修
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