2019.05.16

歯周病や虫歯を放置していて歯がボロボロ。きちんと治す治療法

入れ歯を清潔に保つお手入れ完璧ガイド
歯周病や虫歯の治療をついつい後回しにしているうちに、気が付いたら歯がボロボロ・・・。
歯医者に「どうしてここまで放っておいたの!?」と言われるのも嫌で・・・と、治療するかどうか悩んでいる歯がありませんか?
歯周病や虫歯がひどくて歯がボロボロでも、「手遅れ」とは限りません。
ボロボロの歯をきちんと治す治療法についてご紹介しましょう。

1.悪化した歯周病の治療(治療内容・期間など)

歯周病の一番の原因は、歯周病菌です。その他にくいしばり、タバコ、貧血などがあります。
歯周病はその進行具合によって軽度・中度・重度の3つの段階に分けられます。ここでは、中度以上の段階にまで進行した歯周病を悪化した歯周病として扱ってみます。

1-1.中度歯周病の歯と歯周組織の状態

中度歯周病
歯茎の炎症が進行して、歯周ポケットも4㎜~7㎜の深さになります。歯を支える歯槽骨の半分近くまで破壊・吸収されるので、歯がぐらつき始めます。

1-2.重度歯周病の歯と歯周組織の状態

重度歯周病
歯周ポケットの深さは6㎜以上になり、出血や排膿が頻繁に起こるようになります。歯を支える歯槽骨もその半分以上が破壊されているので、歯はグラグラと大きく動揺します。

1-2-1.中度歯周病の治療内容と期間

中度歯周病の主な治療内容は下記の通りです。

・お口の中の徹底したプラークコントロール
・歯の表面や歯周ポケット内の根面についた歯石やプラークなどの除去
・歯周病菌の除菌(デンタルプラークバスター)
・必要に応じて歯周外科手術
・術後の定期的なメインテナンスと治療部位の検査

治療期間は3ヵ月~1年ほどで、この段階で治療をしっかり行っておけば、ほとんどの歯を残すことが可能です。

1-2-2.重度歯周病の治療内容と期間

重度歯周病の主な治療内容は下記の通りです。

・お口の中の徹底したプラークコントロール
・歯の表面や歯周ポケット内の根面についた歯石やプラークなどの除去
・歯周病菌の除菌
・必要に応じて歯周外科手術
・どうしても残せない歯の抜歯
・抜歯によって失われた歯の機能を補う治療
・定期的なメインテナンスと治療部位の検査

治療期間は1年以上の長期に及ぶことも多く、じっくりと治療を行う必要があります。

2.悪化した虫歯の治療

2-1.悪化した虫歯とは

虫歯は自覚症状があまりなくても、虫歯菌の感染が歯の深部にまで及ぶと、治療の手間や時間がかかり、虫歯菌の感染が歯の比較的浅い部分にとどまっている虫歯よりも、歯そのものや周囲の組織に与える悪影響も大きくなります。
虫歯の進行イメージ

ここでは、虫歯の進行度のC3とC4を悪化した虫歯と定義してその治療法を解説いたします。

2-2.悪化したC3の虫歯とは

虫歯は、最初は歯の表面のわずかな脱灰(だっかい:エナメル質のカルシウム成分の流失)から始まります。虫歯が進行すると歯の表面から歯の中心部分に向かって虫歯菌の感染と歯のエナメル質やその内側の象牙質の破壊が進行します。

C3の虫歯は、虫歯菌の感染が歯の中心部分の歯髄や、その中にある歯髄神経にまで及んでいるものを指します。

2-2-1.悪化したC3の虫歯の治療

虫歯菌の感染が歯髄にまで及んだC3の虫歯に対しては、「根管治療」と呼ばれる歯の中心部分にある「根管」内の治療が行われるのが特徴です。

根管内にある虫歯菌に感染した、歯髄神経をはじめとする歯髄組織をそのままにしておくと、歯根の末端にある根尖孔と呼ばれる部分から周囲の組織へと虫歯菌の感染がどんどん広がっていくからです。

根管治療
根管治療では、まず局所麻酔を施した後に、リーマーやファイルと呼ばれる細長い針金状の器具を根管内に挿入して歯髄神経を除去します。
また、根管内の虫歯菌を完全に除去するために、根管の感染が疑われる歯質も取り除きます。さらにレーザーや殺菌水を使って、除菌いたします。

その後、歯の痛みや根管内の感染がないことを確認してから、根管内に充填剤を隙間なく詰める「根管充填」と呼ばれる治療を行います。
これは、根管内への虫歯菌をはじめとする細菌の侵入を防ぎ、残った歯質への虫歯菌の再感染を防ぐためのものです。

最後に、虫歯で歯冠部分の歯質が大きく失われている場合には、金属やグラスファイバーなどの材料で歯冠部分の土台を作り、その上からセラミックやジルコニアのかぶせもの(クラウンやアンレーなど)をかぶせます。

2-3.悪化したC4の虫歯とは

C3の虫歯が、激しい歯の痛みや腫れなどの症状が目立つのに比べて、虫歯の末期状態のC4の虫歯では、歯冠部分の崩壊は激しいものの、C3の虫歯のような急性症状はあまり見られなくなります。

それは、虫歯菌の感染が歯の全域に及び、根管内の歯髄神経は完全に死んでしまっているので、歯髄神経の痛覚は無くなってしまっているからです。

しかし、歯根だけ残すほど崩壊した歯の中にも虫歯菌は潜んでいて、放置しておくと根尖孔の先に膿の入った袋(歯根嚢胞)を作ったり、歯根膜に炎症を起こして歯根膜炎、さらには顎骨へと炎症を拡大させていきます。

2-3-1.悪化したC4の虫歯の治療

C4の虫歯になった歯を残すのは簡単ではありませんが、残すことが可能な場合もあります。歯根の先端に歯根嚢胞ができておらず、歯周組織や根管内の歯質が歯の保存に適していれば、悪化したC3の虫歯に準じた治療を行います。

しかし、歯根嚢胞が大きかったり、顎骨などの周辺組織に広範囲に虫歯菌の感染が広がっている場合や、C4の虫歯の残った歯質が保存に適さない状態の場合には、抜歯を行って残った歯や周辺組織の健康を守る必要があります。

親知らずなどの歯のかみ合わせに直接関係ない歯の場合には、抜歯後の治療は行いませんが、そのほかの歯では、抜歯後にインプラントやブリッジ、部分入れ歯などで、失われた歯の機能の回復を図ります。

3.グラグラで抜けそうな歯の治療法

歯周病が原因で歯がグラグラで抜けそうな場合には、上記の重度歯周病の治療法を行います。
歯が抜けてしまうのを防ぐために、応急処置的にグラグラしている歯を、隣接する歯と固定して安定を図る方法もありますが、以下のような歯周組織の再生を図る治療法もあります。

3-1.GTR法による歯周組織の再生

GTR法の説明
GTR法とは、Guided Tissue Regeneration:歯周組織再生誘導法という術式のことです。歯周外科手術で歯周ポケット内と、歯根表面の細菌感染層を取り除いた後、「メンブレン」と呼ばれる保護膜で歯周組織を保護して歯周組織の再生を促します。

治療して数週間後から健康な歯周組織が再生してきますが、生体に吸収されないタイプのメンブレンを使用した場合には、再度メンブレンを取り除く除去手術の必要があります。

3-2.エムドゲイン法による歯周組織の再生

エムドゲイン法
エムドゲイン法とは、「エナメルマトリックスデリバティブ」と呼ばれるたんぱく質成分が主成分のジェル状の物質を用いる治療法です。

この物質は、歯が生えてくる時に重要な働きをするたんぱく質です。歯周外科手術を行って歯周ポケットや歯根表面を清潔にした後にエムドゲインを歯根表面に塗布すると、歯周病によって失われた歯槽骨やセメント質、歯根膜などの組織が再生してきます。

このような歯周組織再生療法を行うことで、歯周組織を失ってグラグラになっている歯でも抜かずに残せる可能性が以前よりもずっと高くなりました。

エムドゲイン法は2002年に厚生労働省の認可を受けた治療法ですが、現在はまだ保険適用されておらず、自由診療となっております。

4.抜けた歯の治療法

抜けた歯の治療法には、インプラント、ブリッジ、入れ歯、自家歯牙移植などの方法があります。

4-1.インプラントによる治療

インプラントの説明図
抜けた歯の部分の顎骨に金属製の人工歯根(インプラント体)を埋め込んで、その上に人工の歯冠をつけて補う治療法です。最も天然歯に近い噛み合わせを回復できます。

外科手術が必要なため、治療適応にならない場合もあります。また、原則自由診療となっています。

4-2.ブリッジによる治療

ブリッジの説明
失った歯の両側に歯がある場合、両側の歯を一部削って支えとし、失われた歯の部分に橋を架けるように人工歯を補う治療法です。多くの場合、保険診療で治療できます。

「延長ブリッジ」と言って、失った歯の片側にしか歯がない場合にも保険診療でブリッジが可能な場合もありますが、適応症例が限られているので、延長ブリッジがご希望の場合は歯科医師にご相談ください。

ブリッジは着脱のわずらわしさがなく、物をかむ力も比較的強いのですが、健康な歯を削らないといけないことと、ブリッジの支えになる歯に多くの負担がかかる欠点があります。

4-3.入れ歯による治療

入れ歯の説明
歯を失ったほとんどの症例で保険診療での入れ歯治療が可能です。取り外すことができるので、ブリッジよりも残っている歯の清掃が容易であることが多いです。

保険の入れ歯は、入れ歯を入れた場所によっては、入れ歯の金具や床の一部が見えて審美性に欠けることと、インプラントやブリッジのように固定式でないので、違和感や噛む力に物足りなさを感じることもあります。

4-4.自家歯牙移植による治療

歯牙移植
失った歯の代わりに、親知らずなどのご自分の歯を抜歯した部分に移植する治療法です。

保険診療も適用されていますが、自家歯牙移植後に歯がうまく定着するかどうかの不確定要素があり、治療成績はインプラントより低くなっています。治療法の選択の際には、歯科医師とよくご相談ください。

5.健康な歯を保つ日々のメインテナンス

子どものころから虫歯に悩んできた人は、「丁寧な歯磨き」を歯科医院で教わる機会が多く、自覚症状なく進行する歯周病の患者様は、ご自分に合った歯と歯茎のメインテナンスに接する機会が少なかった・・・ということも往々にしてよくあります。

虫歯も歯周病も原因菌による「細菌感染症」であることは共通です。
歯科医院での定期的な口腔ケアをメインテナンスとして行うとともに、日々の家庭での口腔ケアも励行しましょう。

5-1.家庭での歯磨きで意識しておきたいこと

虫歯も歯周病も、その原因菌の数を増やさず、病気を進行させるプラークをできるだけ作らせないようにすることがポイントです。

そのために、「プラークをきちんと取り除く歯磨き」が大切です。
虫歯の場合は一本ずつ丁寧に歯の表面に歯ブラシの毛先を当てること、歯周病の場合は病気の始まりになる歯と歯茎の境目に歯ブラシの毛先が当たるように重点的に磨くことを意識してみてください。

むしば予防グッズ
歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシでプラークをしっかり取り除いた後は、洗口液で口を漱いで虫歯や歯周病菌の原因菌を除菌して細菌の増殖を抑えます。

まとめ

家庭での効果的なプラークコントロールができていれば、虫歯も歯周病も細菌感染症なので、予防することも進行を防ぐことも可能です。歯がボロボロの状態で放置していて、以前では残せなかった歯でも、治療技術の進歩で抜歯せずに治療できるようになってきました。
進行した虫歯や歯周病でも、諦めてしまわずに、歯科医院に相談してみましょう。

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【監修・執筆】楳津 徳弘

【監修・執筆】楳津 徳弘
所属:新宿(新宿三丁目北歯科)
略歴:1988年 日本大学歯学部卒業
1989年 日本大学大学院歯学研究科歯科臨床系専攻修了(歯科補綴学教室)
1994年 新宿一丁目に歯科楳津医院を開業
2015年 現在地に新宿三丁目北歯科を移転開業
2017年 ハイライフ加盟

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