2021.04.02

必読!50代からの虫歯予防完全ガイド

必読!50代からの虫歯予防完全ガイド
子どもから大人まで、虫歯になったことのない人は、ほとんどいません。
どの年齢においても虫歯は虫歯ですから、特徴に年齢ごとの違いなんてなさそうに思われがちです。
しかし、実はそうではありません。子どもの頃に虫歯になりやすいところと、中年期以降になりやすいところは異なります。
そこで、50代になってなりやすい虫歯について、その特徴や予防方法について詳しく説明いたします。

1.虫歯ってなに?

虫歯の進行
虫歯とは、正式には齲蝕症(うしょくしょう)といいます。昔、歯に虫が住み着いて、歯に穴をあけると考えられていたことにより、このような名前になったという説があります。昔の人は、虫が虫歯の原因と考えていたということですが、現代では、虫歯の原因はストレプトコッカス・ミュータンスに代表される虫歯菌であることがわかっています。虫も小さな生き物ですから、昔の人の考え方は、あながち間違っていたわけではないようです。
虫歯菌が、歯の表面についた磨き残した食べ物などを分解し、乳酸を出します。この乳酸が歯をとかし、歯に穴をあけていくのです。これが虫歯という病気の正体です。

2.50代の虫歯の特徴

2-1.根面齲蝕(こんめんうしょく)

歯の構造と名称
虫歯は、歯のどの部分でも起こりえます。子どもの場合は、歯冠(しかん)と呼ばれる歯の頭の部分によくできます。対して、50代の虫歯の特徴は、歯冠ではなく、歯の根、すなわち歯根(しこん)によくできます。これを根面齲蝕といいます。

2-2.二次齲蝕

二次齲蝕とは、一度虫歯治療をして治した歯に再び虫歯が出来た場合の虫歯のことを言います。虫歯の再発と考えてもらえればよろしいかとおもいます。
二次齲蝕は、以前治療をして、金属やコンポジットレジンとよばれるプラスチックなどを用いて治した部分の周囲に発生します。治療をしたのち、長い時間をかけてこうした詰め物と歯の間に隙間が生じ、そこに虫歯菌が侵入して起こります。
ですから、若い頃には起こりにくいのが特徴です。

3.50代の虫歯の原因

3-1.根面齲蝕

歯根は、本来歯茎に覆われている部分ですから、お口の表面には出ていません。若い頃は、歯根を歯茎がしっかりと覆っているために露出していませんから、虫歯になり様がないのです。
しかし、年とともに歯周病の進行や歯みがきの際の不適切な刺激などにより、徐々に歯茎が下がってきます。それに伴い歯根が徐々に顔を見せてくるようになります。

ところで、歯冠はエナメル質というとても硬い部分で守られています。エナメル質の硬さは、身体の中で一番硬いとも言われており、実は骨よりも硬いのです。一方、歯根の部分は、直接噛み合わせるところではないですし、本来歯茎や骨で覆われているところでして、エナメル質で守る必要はありません。ですから、歯冠と比べるととても弱い部分であります。

その歯根の部分の歯茎が下がってくることで、歯根が表面に現れてきます。元々が弱いところなので、虫歯菌の出す乳酸にもとかされやすいです。つまり、虫歯になりやすい部分と言えます。こうして、根面齲蝕が起こります。

3-2.二次齲蝕

二次齲蝕は、一度治療を受けた歯に起こる虫歯です。しかし、二次齲蝕と呼ばれるのは、一度詰めた部分の周囲に出来た虫歯だけです。
ですから、例えば、歯の表側に以前虫歯が出来て、詰めて治していたとします。その歯の裏側に虫歯が出来た場合は、以前詰めた部分の周囲ではないので、二次齲蝕とはいいません。
虫歯治療では、コンポジットレジンを使って虫歯の部分を埋めて、いわゆる詰め物治療を行ないます。また、それ以上に大きくなった場合は、金属やセラミックなどの被せものの治療を行ないます。どちらの場合においても、歯と人工物は直接くっつきません。そのために、接着剤を使います。
この接着剤は、年月とともに徐々に溶け出していきます。溶け出すのに年月が必要となるので、若い頃には起こりにくいのです。
こうして、詰め物や被せものと歯の間に徐々に隙間が出来てきます。この部分は虫歯菌は侵入出来ても、歯ブラシの毛先は入ることは出来ません。そのため、この部分から虫歯が発生しやすくなるのです。

・コンポジットレジンについては、以下の記事で詳しく説明しています。
虫歯を削らずに保険で白く治療!コンポジットレジンとは

4.50代に虫歯になりやすい人

50代になれば皆が皆、根面齲蝕や二次齲蝕をおこすわけではありません。

4-1.プラークコントロールができていない

プラークとは歯の表面についた白い付着物のことです。爪で歯の表面を引っ掻くと、爪の先についてきます。これは、細菌の塊であることがわかっています。ここの細菌には、虫歯菌もあれば歯周病菌もあります。困ったことに、歯ブラシで歯を磨いてもとれません。
プラークコントロールとは、このプラークを取り除いて歯をきれいな状態に保つことを言います。プラークコントロールが出来ていないとは、歯の周りが細菌だらけということを意味します。つまり、虫歯菌の供給源があるということですから、虫歯を起こしやすくなります。

・歯石を防ぐ方法については、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|普段から歯石を防ぐ方法と歯医者で行う歯石除去

4-2.歯周病を治療していない

歯周ポケットの図
歯周病になったまま治療を受けていない人は、そうでない人と比べて、より歯茎が下がりやすくなります。つまり、歯根が露出しやすくなるため、根面齲蝕を起こしやすくなります。

4-3.虫歯を治療していない

お口の中に虫歯が多発している場合、言い換えると虫歯菌がたくさんいるということが言えます。虫歯を治療して虫歯菌を減らさないと、更に虫歯になりやすくなります。

5.50代に虫歯になりやすい生活

5-1.歯磨きをしない

歯みがきの習慣に乏しいと、虫歯になりやすくなります。特に食べた後に歯みがきをしないで寝てしまうと、虫歯を誘発しかねません。
また、歯ブラシだけ使い、歯の表面だけを磨いている人も同じです。歯と歯の間まで、糸ようじや歯間ブラシを使って、磨かなければなりません。磨けているところ、そうでないところを、きちんと把握するために、歯科医院で歯みがきの練習をうけることもいいでしょう。

・歯間ブラシの正しい使い方については、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|おすすめの歯間ブラシと正しい使い方で防ぐ3つの病気

5-2.歯ブラシを歯茎に当ててしまう

歯みがきをしないと虫歯になりやすくなるのですが、一方、歯ブラシをきちんと使っていないと、これもよくないです。具体的には、歯ブラシの毛先を歯茎に強く当ててしまうことがよくないのです。これは歯茎が下がる原因になり、根面齲蝕を引き起こします。歯ブラシの使い方は、歯科医院で説明してくれます。

5-3.口呼吸をしている

免疫系による細菌防御
口で呼吸をしていると、口が乾燥します。本来、お口の中は潤っているべきところですので、乾燥にとても弱い性質があります。乾燥すると、お口の表面についた汚れも取りにくくなります。こうしたことにより歯周病が進行しやすくなったり、虫歯になったりします。口で呼吸する癖があるなら、治す様にしましょう。

・口呼吸については、以下の記事で詳しく説明しています。
【医師監修】口呼吸を鼻呼吸へ!原因と歯医者での治療。自宅での治し方

5-4.歯ぎしりや食いしばりの癖がある

歯ぎしりや食いしばりを常にしていると、歯を支えている歯槽骨という骨が傷んでくることがあります。これは、歯周病の原因となり、歯茎が下がってくることに繋がります。
また、骨だけでなく、歯そのものについても、歯冠と歯根の境付近に穴が開いてくることもあります。これをくさび状欠損といいます。ここから虫歯になってくることもありますので、歯ぎしりや食いしばりの癖があるなら、歯科医院でみてもらってください。

・食いしばりについては、以下の記事で詳しく説明しています。
今日からできる!食いしばりを治す7つの方法

6.虫歯のセルフチェック

6-1.歯の色が変ってきた

前歯の虫歯は、比較的見つけやすいです。鏡を見て、歯の色が黒ずんでいないか、茶色いところがないか、探してみましょう。そういう色の違うところを見つけたら、虫歯の可能性が高いです。

6-2.食べ物が挟まりやすくなった

その一方、奥歯の虫歯を見つけるのは、見えにくいこともあり、やはり難しいです。頬側の面はまだ見やすいです。しかし、それ以外の面に至っては、なかなか見ることはできません。
それでも、虫歯かもしれないという可能性を探る方法はあります。例えば、歯と歯の間にものが挟まりやすくなったということがあれば、虫歯が起こっている可能性があります。

6-3.感触がかわってきた

糸ようじを歯と歯の間に入れるとほつれやすくなった、舌や頬で触れた時の感触がザラザラするようになった、こういう時も虫歯のサインかもしれません。時には歯が欠けてとがった部分が舌や頬に当たり、傷を作ってしまうこともあります。
歯は、表面は見えやすいのですが、内側や歯と歯の間は中々みえません。気づかないうちに虫歯が進んでしまうこともあります。感触が変わったときは、歯科医院できちんと診てもらった方がいいでしょう。

6-4.詰め物や被せものがとれた

二次齲蝕が進んでいくと、詰め物や被せものが外れたりすることが多いです。言い換えれば、詰め物や被せものが外れたということは、虫歯のサインかもしれません。
また、外れたままにしておくと、外れた面から虫歯が進行していくこともあります。ですので、外れたときは痛くなくても歯科医院でチェックしてもらってください。

6-5.痛む

虫歯の症状としては、歯が痛むということは多いですが、歯茎が下がったことにより知覚過敏を起こしていることもあります。こうした部分は、根面齲蝕を起こしやすいところでもあります。痛みというほどではない、しみる様な症状があるだけでも、歯科医院で診てもらった方がいいでしょう。

7.50代からの虫歯予防毎日編

では、50代からの虫歯を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。

7-1.歯磨き

むしば予防グッツ
虫歯予防の基本はやはり歯磨きです。毎食後、歯磨きをしましょう。その時、歯ブラシ以外に、歯間ブラシや糸ようじを使うようにして、歯と歯の間も綺麗に磨くようにしてください。
歯磨き粉は、フッ素を配合したものがいいでしょう。そして、低発泡性のものをお勧めします。泡立ちのいいものだと、泡が気になって磨きにくかったり、サッパリ感がすることで、磨けていなくても磨けた気になることがあるからです。

・歯磨きについては、以下の記事で詳しく説明しています。
保存版|歯周病を予防する正しい歯磨きと歯ブラシの選び方
【医師監修】電動歯ブラシを超音波歯ブラシまで比較!選び方と使い方

7-2.フッ素のうがい

洗口液コンクールの写真
フッ素には、歯を虫歯菌の出す乳酸から強くする作用や、乳酸で溶かされた部分を再石灰化させる作用があります。こうした作用を持つフッ素をたくさん配合したうがい薬があります。フッ素でうがいをすることで、新たに露出した歯根を強くすることが期待されます。

8.定期的なメインテナンス

日々の歯みがきを頑張っても、とれないものがあります。プラークや歯石です。歯ブラシの毛先で歯の表面を磨いても、プラークはしっかりとついているためとれないのです。
プラークを取り除くためには、歯科医院で専用の器械を使う必要があります。そして、歯石も同様です。歯石もまた、スケーラーとよばれる専用の器械を使わなければとれません。
プラークや歯石をおいておくと、虫歯の原因になったり、歯周病が進行し歯茎が下がる原因になったりします。歯科医院でプラークや歯石を定期的に取り除くことをメインテナンスといいます。メインテナンスを適時受け、50代からの虫歯を防ぎましょう。

・定期的な歯科検診については、以下の記事で詳しく説明しています。
専門家監修|定期的な歯科検診がもたらす将来の歯への4つの大きな利点

まとめ

虫歯は、どの年齢でも起こりえます。けれど、虫歯には年齢ごとに特徴があります。
50代以降の虫歯は、歯茎が下がってきたことにより歯根が虫歯になる根面齲蝕と、歯を被せたりして治した歯の詰め物や、被せものの周囲から発生する二次齲蝕が多いことが特徴です。
50代以降に起こる虫歯を予防するためには、日々の歯みがきをしっかり行ない歯をきれいな状態に保つことと、定期的な歯科医院でのメインテナンスとよばれるプラークや歯石の掃除がさらに重要になってきます。また、露出した歯根は虫歯菌に対して弱いため、フッ素を使って歯を強くすることも効果的です。
50代以降に起こる虫歯を防ぎ、自身の歯で健康な生活がおくれる様にしていきましょう。

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