2022.03.11

知覚過敏は治るの?原因と治療方法

知覚過敏は治るの?原因と治療方法

鏡で見てみても、歯にむし歯が出来ているわけでもないし、欠けたところがあるわけでもない、けれども冷たいものに歯がしみる、そんなときは歯が知覚過敏を起こしているのかもしれません。
知覚過敏って何なのでしょうか?どうして起こるのでしょうか?治療によって治るのでしょうか?
知覚過敏に詳しくご説明します。

1.知覚過敏とは

1-1.知覚過敏ってなに?

知覚過敏は、正しくは象牙質知覚過敏症といいます。
神経がしっかりと生きている歯のことを生活歯(せいかつし)といいますが、むし歯や神経の炎症などを起こしていない生活歯に生じる一過性の痛みのことです。
冷たいものを口に含んだり、甘いものや歯みがきのときの刺激などにより発症します。また、寒い時期には冷たい風を吸い込んだことでも起こります。
痛みは痛み止めを飲まなければならないほどの激しい痛みになることは稀です。

1-2.知覚過敏の症状について

最も多いのが、冷たいものの刺激による痛みです。痛み自体は、一時的なもので、持続的に痛くなることはあまりありません。
冷たいものだけでなく、温かいものや、チョコレートやアメなどの甘いものの接触でも起こります。
もし、鎮痛薬がないと耐えられないような痛みや持続性の痛みであれば、それは知覚過敏ではなく歯髄炎という歯の神経の炎症であると考えられます。ほか、上下の歯を咬み合わせた時に痛みを併発する場合も、知覚過敏ではなく歯髄炎を生じている可能性が高くなります。

2.知覚過敏の原因と治療方法

2-1.知覚過敏の原因について

2-1-1.知覚過敏のメカニズム

2-1-1-1.歯の構造について

知覚過敏のメカニズム
実は、歯は全て均一な構造で出来ているのではなく、表層と内部とでは構造が異なります。
歯の最も外側の部分は、エナメル質というものでできています。そして、歯の内部は象牙質といいます。
エナメル質は骨よりも硬いといわれ、身体の中で最も硬い部分です。その硬さによって、咬み合わせた時にかかる力に耐えられるようになっています。なお、咬み合わせた時に歯が当たらない歯根にはエナメル質はなく、すべて象牙質になっています。
このエナメル質は、実は感覚を感じることはなく、エナメル質の部分を削っても痛みはありません。
歯の感覚は、内部にある象牙質からの刺激が神経に伝わって感じるのです。したがって、象牙質の部分が冷たいものや温かいもの、歯ブラシで触れるなどにより刺激されると、その刺激が歯の神経に伝わります。神経はその刺激を受け取って、脳に伝え、痛みなどの感覚を感じるようになるのです。

2-1-1-2.知覚過敏が起こるメカニズム

知覚過敏がおこる原因については諸説あるのですが、現在のところは『動水力学説』という理論が有力視されています。
象牙質には、象牙細管とよばれる顕微鏡レベルの大きさの小さく細い管が無数にあいています。この管の内部には、組織液が満たされています。冷たいものや温かいものなどの刺激が、組織液に伝わり、管の内部で組織液が移動します。この液体の移動が歯の神経を刺激して、知覚過敏が生じるというのが、動水力学説です。
通常、象牙質は露出してはいませんので、象牙細管もやはり隠れた場所にあります。象牙細管は露出しなければ、内部の組織液に冷たいものや温かいものなどの刺激が伝わることはありません。
しかし、歯ぐきがやせてきたり、エナメル質が欠けてきたりすることで、象牙質は露出してきます。こうして、本来は外部には曝されていない象牙細管が曝露されるようになります。
象牙細管が刺激に曝されやすくなり、組織液に移動が起こり、知覚過敏が起こると考えられています。

2-2.知覚過敏の原因

2-2-1.歯ぐきの退縮

歯ぐきの退縮とは、歯ぐきが痩せてくることです。
実は、歯ぐきは正常な状態でも年々退縮していくものなのです。
歯ぐきが退縮すると、それにともない歯ぐきに覆われていた象牙質が露出していきます。象牙質の露出によって、知覚過敏が起こります。

2-2-2.歯のすり減り

歯は年とともにすり減ってきます。歯がすり減ると、歯の神経の周囲を覆っている歯の厚みも減少してしまいます。それにともなって、冷たいものなどの刺激が伝わりやすくなりますので、知覚過敏をもたらします。

2-2-3.歯の欠け

硬いものを噛んだり、転倒して歯をうったりするなどの原因で歯が欠けてしまうことがあります。
すると欠けた分、歯が薄くなってしまうので歯がしみやすくなります。

2-2-4.歯の溶解

酸性の化学物質を扱う事業所や、酸っぱい食べ物を好んで食べる嗜好がある場合などに、歯が少しずつ溶けてしまうことがあります。
歯がとけると、歯の厚みが減ってしまいますので、冷たいものなどの刺激が神経に伝わりやすくなり、知覚過敏を起こします。

2-2-5.ホワイトニング

ホワイトニングとは、歯を漂白して白くする治療法です。ホワイトニングは、薬剤を塗るだけなので、歯を削ったり詰めたりするわけではないのですが、その副作用で歯が知覚過敏を起こすことがあります。

2-2-6.むし歯治療

むし歯の穴が深くないときなど、歯の神経を残すようにむし歯治療をするときがあります。
このようなときは、コンポジットレジンというプラスチック製の詰めものや、金属でできたインレーとよばれる小ぶりの詰めものをします。これらは人工物なので熱の伝わりやすさなどの物性が、歯とは異なります。
そのために、治した部分からの刺激が歯をしみさせてしまうことがあります。

2-3.知覚過敏の治療法について

2-3-1.薬物治療

知覚過敏抑制剤という薬があります。この薬は市販されていませんので、これで治療を受ける場合は、歯科医院を受診しなければなりません。
知覚過敏抑制剤を知覚過敏を起こしている部位に塗布します。すると露出された象牙細管が封鎖され、歯の神経への刺激が伝えられなくなり、知覚過敏が治ります。

知覚過敏抑制剤は、複数の会社からいろいろな製品が販売されています。1液性のものもあれば、2種類の液を使用直前に混ぜ合わせるものもあります。効果を発現させるために、特殊な光を当てるタイプもあります。
どのタイプも知覚過敏を抑える効果はありますので、歯科医院で相談してください。

2-3-2.充填治療

知覚過敏を起こした象牙質を、コンポジットレジンとよばれるプラスチックやセメントを充填して覆ってしまう治療法です。特に、クサビ状欠損とよばれる歯の付け根付近がくぼんでいる場合や、象牙質の表面がすり減っている場合に、歯の形態の回復を兼ねて行なわれます。

2-3-3.レーザー治療

露出した象牙質部分にレーザーを照射する治療法です。照射することで発生する熱で、象牙質を少し溶かして象牙細管を封鎖したり、歯の神経の感じ方を鈍くさせたりします。この効果で知覚過敏を抑えます。

2-3-4.神経を取り除く

知覚過敏による痛みが激しかったり、持続時間が長かったりする場合は、歯の神経を取り除くことも選択肢としてあげられます。
歯の神経は、可能な限り残すことが望ましいですが、日常生活にも支障を来すような場合はやむを得ないと判断されます。

3.知覚過敏の予防法について

確実に知覚過敏を予防する効果的な方法は、現状では残念ながらありません。
たとえば、歯ぐきが退縮するという症状は、健康で正常な歯ぐきであっても起こります。実は、平均すると1年間に0.2[mm]ほどの速さで歯肉は退縮していきます。したがって、年とともに歯肉が退縮してくるのは避けられず、それにともない象牙質の露出が起こってくるのです。生理的な現象による歯ぐきの退縮が原因の知覚過敏は予防で来ません。
しかし、そうでない知覚過敏は予防出来る可能性があります。
実は不適切な歯みがきや歯周病によって、正常な速さ以上に歯ぐきが退縮してしまうことがあります。すると象牙質が露出しますので、知覚過敏を起こす可能性が高まります。
そこで、歯みがきを適切な方法で行なうようにしたり、歯周病の治療を受けたりして、歯ぐきが過剰に退縮しないようにできれば、象牙質の露出が抑えられるので知覚過敏の予防に繋がります。
また、歯みがきが適切に行なえていないと、歯の表面にプラークとよばれる汚れが付着します。プラークとは細菌の塊で、むし歯や歯周病の原因菌がたくさん含まれています。
プラークがついたままですと、むし歯になりやすくなります。むし歯になると、歯がむし歯菌の産生する乳酸によって溶かされます。すると、エナメル質が減少して、象牙質が露出しやすくなります。そして、歯周病菌により歯周病も進行します。
つまり、プラークを除去するプラークコントロールを確実にすることは、むし歯や歯周病の予防だけでなく、知覚過敏を予防することにもなります。そのためにも、日々の歯みがきをていねいにするだけでなく、定期的に歯科医院で磨き残したところの掃除や、歯石除去を受けて、歯をきれいな状態にしてもらうことが大切です。

・定期検診については、以下の記事で詳しく説明しています。
定期的な歯科検診がもたらす将来の歯への4つの大きな利点

まとめ

むし歯や歯周病が認められなくても歯がしみてくるのが知覚過敏です。
知覚過敏は、歯ぐきの退縮やすり減りだけでなく、ホワイトニングやむし歯治療によっても誘発されることがあり、治るかその治療法は、症状に応じて行なわれます。
そんな知覚過敏ですが、現在のところは確実に予防できる方法は見つかっていません。
しかし、歯ぐきが退縮することでおこる知覚過敏については、歯みがきをていねいにすることで歯ぐきの退縮を抑えることが出来れば、間接的に知覚過敏の予防することができます。
しかも歯みがきをていねいにしっかりするということは、むし歯や歯周病予防にも効果的です。日常の歯みがきをきちんとすることで、知覚過敏だけでなく、むし歯や歯周病も予防しましょう。

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【監修・執筆】ハイライフ編集部監修

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