体や表情の歪み、顎の不具合などでお悩みの方も多いと思います。
今回、ご紹介する噛み合わせの悪さを治療などをしないで放置することは、こうした体の異常、肩こりや頭痛の原因にもつながります。
お口の水平や顎の動き、奥歯などの噛み合わせが適正かどうか?簡単にチェックいただける方法と、ご自宅で可能なケア方法を詳しくご紹介いたします。
1.歯の並びについて
1-1.噛み合わせは変わりゆくもの
歯並びは、虫歯や歯周病になったときに変化してしまうことはわかりやすいと思いますが、そうでなくても、日々変わっていくという特徴があります。
歯並びの変化は、非常にわずかづつなので気がつきにくいのです。
歯並びが変化しますと、それにともない噛み合わせも変化していきます。噛み合わせも、日々変わりゆくものなのです。
1-2.歯並びが変化する理由
歯の形は、性別を問わず人はみな同じ形をしています。
ところが、その顎や歯の動きは、人それぞれ異なり、癖があります。食事をするとき、歯は上下で噛むだけでなく、左右に顎を動かし、食べ物をすりつぶす動きをします。
このとき、歯には上下方向の力だけでなく、水平方向にも力が加わることになります。しかも、この方向や力加減というものは、人それぞれ異なります。
もし、歯が顎の骨にがっちりとくっついていたなら、こうした日々の食生活で加わる力に負けて、歯が折れたり、割れたりするかもしれません。そこで、歯が移動することで、力を受けとめるための最適の位置を探そうとしているのです。
2.悪い噛み合わせとは
噛み合わせにも、いい噛み合わせもあれば、悪い噛み合わせもあります。
いい噛み合わせは、想像しやすいです。では、悪い噛み合わせとはどんなものなのでしょうか。
見た目でいうと、きれいに並んでいない歯並びといえます。
機能面でいえば、歯が欠けていたり、歯が無くなっていたりして噛めない噛み合わせということになります。他にも、舌や頬を噛みやすい噛み合わせは、いい噛み合わせとは言いがたいかもしれません。
けれど、本来の意味での悪い噛み合わせとは、身体の他の部分に、なんらかの悪影響を及ぼす噛み合わせのことでしょう。
3.噛み合わせの悪さにより引き起こされる症状
3-1.顎関節症
特に食事の際などに片側だけで噛む癖のある場合に、よく起こります。
顎の骨は、身体の中で唯一2カ所の関節が同時に動かないと、お口が開かない構造になっています。そのため、片側で噛む癖があると、顎の関節にかかってくる力のバランスに左右で違いが生じます。その結果、顎の関節やその周囲組織にゆがみが生じ、顎関節症になると考えられています。
こうした症状は、片側噛みだけでなく、歯ぎしりや食いしばりでも起こりえます。
・顎関節症については、以下の記事で詳しく説明しています。
顎関節症を招く4つの原因と今すぐできる詳しい治療法
3-2.顔の表情のゆがみ
噛み合わせが悪くなりますと、どうしても筋肉バランスにゆがみが生じてしまいます。
噛み合わせが良い側で、食べ物を噛んでしまう傾向がうまれるからです。片側噛みとまではいかなくても、こうしたことが年々続いていきますと、左右の筋肉のバランスが変化してしまいます。
その結果、筋肉をよく使う側と使わない側とで、顔の形や表情に違いが生まれるようになります。
3-3.姿勢のゆがみ
顔の表情だけでなく、姿勢にも影響が出てくるという考え方もあります。
下顎は、頭蓋骨からぶら下がっている状態にあります。噛み合わせがしっかりしていれば、ぶらさがっている下顎も、左右バランスのとれた安定した状態に維持出来ます。
けれど、もし噛み合わせがゆがんでいたら、下顎の位置もゆがんでしまいます。
下顎の位置がゆがむと、無意識に頭の位置を調整してバランスをとるようになります。
頭は、身体の中でもかなりの重量を占めています。頭の位置がゆがんでしまいますと、頭を支えている首や肩の筋肉のバランスにも影響が出ます。肩が左右でバランスがとれなくなると、腕の位置で調整します。
このようにして、全身に影響が及んでくると考えられるのです。とれない肩こりや頭痛などがある場合、もしかしたら、こういったことがかくれているのかもしれません。
4.噛み合わせの簡単なセルフチェック法
4-1.左右のずれの有無のチェック法
1)鏡の前に、背筋をまっすぐに立ちます。
2)「い〜ん」と唇を動かし、歯を見えるようにします。
3)上顎と下顎の前歯の真ん中を結んだ線が、上下でずれておらず一直線になれば、左右のずれはありません。
4-2.水平方向の傾きのチェック法
1)鏡の前に、背筋をまっすぐに立ちます。
2)アイスクリームの棒など、薄く平べったい1本の棒を左右の奥歯で噛みます。
このとき、お口の端から棒の先が見えるくらいの長さがいいので、棒の長さは15cmほどで十分です。
3)顔の中央の線(両目の中央から鼻の先、顎の真ん中を結ぶ線)に対して、棒が直角にあれば水平方向の傾きはありません。
4-3.奥歯の噛み合わせのチェック法
1)上半身の姿勢を正します。
2)カチカチと上顎と下顎の奥歯をならして咬み合わせてみます。
3)左右から同じ様な感じで音が響いてくれば、左右両方ともバランスよくかめています。
4-4.顎の関節の動き具合のチェック法
1)鏡の前に、背筋をまっすぐに立ちます。
2)人差し指を耳の穴の入口付近の前側に当てます。
3)「い〜ん」と歯を見せます。
4)耳の穴に指を当てながら、上顎と下顎の前歯の真ん中の位置関係に注意しながらゆっくりとお口を開けていきます。
5)下顎の前歯の真ん中が左右にぶれずにまっすぐに開いていき、かつ耳の穴に当てた指先から感じ取れる下顎の骨の頂点の動きに、左右で違いがなければ、顎の関節の動き具合は良好と判断出来ます。
4-5.お口の開き具合のチェック法
1)鏡の前に、背筋をまっすぐに立ちます。
2)無理のない範囲で、しっかりとお口を開けます。
3)このとき、手の指(人差し指と中指が使いやすいです。)を2本縦にして、余裕を持って上顎と下顎の前歯の間に入れることが出来れば、お口の開き幅はいい状態といえます。
5.噛み合わせに影響する悪い癖
5-1.ほおづえ
ほおづえをつく癖があると、ほおづえをつく側の反対側へ向かって、下顎がおされます。その結果、下顎がずれてくるのです。このような状態が継続的に続きますと、噛み合わせがおかしくなるだけでなく、顎関節が痛くなったり、口が開かなくなったりするようになります。
5-2.舌の癖
5-2-1.舌を前に出す癖
舌を前へ出す癖がありますと、舌が上顎と下顎の前歯を内側から外側へ向かって押し出すような方向に力がかかってしまいます。そのために、前歯の噛み合わせがゆがんでしまい、上顎と下顎の前歯に奥歯を噛み合わせたときにでも、閉じることの出来ない隙間が出来てしまいます。また、いわゆる出っ歯にもなってしまいます。
5-2-2.舌を下げる癖
舌先は本来、上顎の前歯の裏側の歯茎あたりに当たっているのが正常な位置です。舌が下がりますと、舌の先は下顎の前歯の裏側に当たります。そうなりますと、下顎の前歯を内側から押し出す方向に、舌が前歯に力をかけてしまいますので、下顎の前歯が前へ出てくるようになります。噛み合わせが、いわゆる受け口になってしまうのです。
5-3.はぎしりやくいしばり
歯ぎしりや食いしばりの癖がありますと、奥歯だけでなく重症な場合はお口全体の歯がすり減り、噛み合わせの面が平らなになっていします。そして、顎の関節にも負担がかかってきますので、顎が痛くなったり、口が開けにくくなったりすることもあります。
・くいしばりについては、以下の記事で詳しく説明しています。
今日からできる!食いしばりを治す7つの方法
5-4.片方噛み
食事の時に、常時、片側の奥歯だけを使って噛む癖がある場合、噛んでいる側の筋肉が発達してきます。これにより顎の筋肉に左右でバランスに違いが生じる結果、顎の骨にゆがみが生じることがあります。また、歯のすり減りに関しても左右で違いが出ますので、噛み合わせが歪んでくることにつながります。
5-5.指しゃぶり
指しゃぶりは子どもに多い癖です。指しゃぶりを続けると、上顎と下顎の前歯に隙間が出来るようになります。また上顎と下顎の前歯が出っ歯になる場合もあります。
6.噛み合わせ対策のセルフケア
6-1.食事の時に
比較的形のしっかりしている食べ物を選び、左右両方の奥歯を使って噛みます。このとき、意識して左右の奥歯を交互に、かつ均等につかって噛むことがポイントです。片方だけで噛む癖がある場合は、反対側の奥歯を使うように気をつけましょう。
6-2.あいうべ体操
6-2-1.筋肉を鍛える意味
舌の筋肉がたるんできますと、舌が下に下がってきます。その結果、舌の前歯を裏側から押してしまうので、受け口になります。
そこで、舌の筋肉トレーニングを行ない筋肉を鍛え、下がった舌先が再び上がるようにします。
あいうべ体操を行なえば、舌だけでなく、その周囲の筋肉も同時に鍛えられるので効果的です。具体的方法をみていきましょう。
6-2-2.方法
①から④の順番に、「あ」「い」「う」「べ」と口をしっかり開けて声を出すだけです。
この時、ポイントがあります。
①「あ」:大きくしっかり口を開ける。
②「い」:口の角をしっかり横へ伸ばす。
③「う」:唇を前へしっかりとがらせる。
④「べ」:舌をしっかり前へ伸ばす。
これを1セットで、1日30セットくらい行います。
6-3.癖の矯正
悪い癖があれば、これを治さなければなりません。癖の中には自分でコントロールして治すしかないものがあります。
例えばほおづえです。これは自分で気をつけるか、その都度人に指摘してもらわなければなりません。
ほか、舌を前へ伸ばす癖については、舌の前歯の裏に、わざとトゲをつけて舌を当てると痛みが生じるようにする方法があるにはあるのですが、痛いので一般的ではありません。やはり、自分でコントロールを試みるのが一番でしょう。
7.噛み合わせの治療
噛み合わせが悪い場合、歯科治療にて対応することがあります。主な場合を4つに分けて説明します。
7-1.欠けてしまった歯の場合
虫歯で歯が欠けてしまったところには、虫歯を詰めたり、被せ物を入れたりして噛めるようにします。虫歯が大きい場合は、神経の治療をしないといけないことがあります。虫歯が小さい場合は、コンポジットレジンとよばれるプラスチックを用いることができれば、1日で完了しますし、色も歯に合わせることが出来るので、目立ちにくくていいです。
しかし、虫歯の穴の位置や大きさからコンポジットレジンが使えない場合があります。その場合は、歯型をとって金属製などの被せ物をいれることになります。
・コンポジットレジンによる治療ついては、以下の記事で詳しく説明しています。
虫歯を削らずに保険で白く治療!コンポジットレジンとは
7-2.歯を失った場合
虫歯や歯周病、外傷などで歯を失った場合、当然そこでは噛めません。こうした場合は、ブリッジとよばれる被せ物や入れ歯を入れて、噛み合わせを回復します。
また、保険外診療となりますが、インプラントという顎の骨に植えるタイプの人工の歯もあります。インプラントの価格は、各歯科医院で異なります。それぞれの歯科医院で説明を受けるようにしてください。
・歯のブリッジについては、以下の記事で詳しく説明しています。
部分入れ歯とブリッジでお悩みの方へ。選択前の3つのポイント
・部分入れ歯とインプラントついては、以下の記事で詳しく説明しています。
インプラントと部分入れ歯で悩むあなたへ利点・欠点の解説
7-3.歯はそろっているけれど、歯並びが悪い場合
この場合は、矯正歯科治療になります。矯正歯科治療は、6歳臼歯がしっかりとはえてくれば、子どもでも可能です。もちろん、成人してから受けることも出来ます。ただ、舌癖など、何らかの癖がある場合は、せっかく矯正歯科治療を受けても後戻りをしてしまうことがありますので、歯並びを治すと同時に、癖も治すようにしてください。
費用に関しては、どの年齢でもそうなのですが、基本的に保険外診療となります。
治療費用は、各歯科医院で異なりますので、それぞれの歯科医院で説明を受けてください。
7-4.歯ぎしりやくいしばりの場合
歯ぎしりやくいしばりについては、マウスピースを歯に装着して、治療を行ないます。
マウスピースの形や材質は、症状に応じて数タイプありますので、それぞれに使い分けが行なわれています。また、精神的ストレスから生じている場合は、抗不安剤などの薬を用いることもあります。
まとめ
噛み合わせは、ご自身で気づきにくいものもありますが、長年、悪い噛み合わせでの生活をしていると、体に悪い影響をもたらす恐れがあります。
ご自身で違和感を感じた際には、ぜひご紹介させていただいたチェック方法で状態を確認して、正しい噛み合わせの治療にお役立てください。
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